内容証明で出す? 普通郵便で出す? | 橋本治子の弁護士日記~仙台より~

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仙台弁護士会所属。

こちらが、相手方に対して、請求する立場のとき。

 

依頼を受けましたら、手始めに、相手方に請求内容や言い分を記載した書面を送ることがあります。

このとき、「内容証明で出してください‼」というご要望をいただくことが多いです。

 

内容証明郵便だと相手方に強くアピールできそう

という印象を持っている方が多いのですが、内容証明にするしないは書面の内容によります。

 

 

 

 

内容証明郵便とは、 どのような内容の書面が誰から誰あてに差し出されたかということを、郵便局が証明してくれるものです。

 

このほか、配達証明というものがあります。

配達証明は、何年何月何日に相手方に配達されたということを郵便局が証明してくれるものです。

 

内容証明郵便は、ふつう、配達証明付きで出します。

 

 

したがって、相手方に送る書面は

1 内容証明+配達証明

2 簡易書留など

3 普通郵便

に分けられます。
 
 

1 内容証明+配達証明にする場合

 

① 相手方に、こちらの意思が伝わって法的効力が生じるなど、重要な行為は、内容証明+配達証明が必須です。たとえば、次のようなもの。

 

ⅰ 契約解除をする場合(解除の前段階として催告をする場合)

ⅱ 消滅時効完成猶予のために催告をする場合

ⅲ 遺留分侵害額請求をする場合               など

 

ⅰ 契約解除

こちらの「解除します」という意思表示が、相手方に届いて効力が生じます。

ですから、「解除します」という意思表示をしたことを内容証明で分かるようにして、その意思表示が相手方に到達したことを配達証明で分かるようにしておくのです。

将来、訴訟になったとき、証拠として使います。

 

ⅲ 遺留分侵害額請求

相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅します。

そのため、「1年内に遺留分侵害額請求をした」ことを明確にしておくために、内容証明+配達証明で送ります。

 

 

② こちらの主張を明確に伝えるため、こちらの本気度を伝えるために、内容証明+配達証明を利用する意味合いは大きいです。

 

後日、そんな書類は受け取っていないとか、そんな申し入れはされていないとか、言い逃れさせません。

期限までに応じない場合には法的手続きに進むことを予告することもありますし、本気度を伝えることができます。

後日、訴訟となったときに、いつ相手方に言い分を伝えたか、主張内容が一貫していること、交渉の経緯などを裏付けることができます。

 

また、私が代理人として関わるときは、相手方が内容証明を受け取った後、弁護士に相談に行くことを想定し、その相談を受けた弁護士が状況を理解できるように、事実経過を分かりやすく簡潔に書くことを意識しています。

 

 

2 簡易書留など

 

内容証明にはしないけれど、書面を発送したこと、相手方が受け取ったことを残しておきたいときに使います。

 

クーリングオフは内容証明郵便で出した方がよいとは思いますが、8日間という期間制限がありますし、とにかく早く送ることが大切なので、消費生活センターなどではハガキでの書き方を紹介しています。

消滅時効援用通知も、私は内容証明+配達証明で送付し、依頼者の方にきっちり説明できるようにしますが、簡易書留レベルでよいとも言えます。

 

 

3 普通郵便

 

相手方に送る1通目は内容証明郵便で出しても、その後、交渉が開始し、何度もやりとりするときは、普通郵便やFAX、電話等でやりとりすることがほとんどです。

 

あと、内容証明や簡易書留の難点は、いつまで経っても届かない、という事態が起きることです。

内容証明郵便や簡易書留は、郵便局が配達に行ったとき、留守だと持ち帰ります。

 

相手方が、不在連絡票を見て、再配達を依頼したり、郵便局まで取りに行ってくれればよいのですが、不在者連絡票の差出人名に心当たりある人の名前が書いてあったり、「弁護士橋本治子」と書いてあったりしたときに、「こんなの読みたくもない」と受け取らないことが往々にしてあります。

保管期限経過すれば、こちらに戻ってきてしまいます。

 

そうなると、約1週間、何もことが進みません。

そのため、いち早く、こちらの言い分を伝える必要があるときは、普通郵便で出すこともありますし、内容証明で送るのと同時に、同じ内容のものを普通郵便で出すこともあります。

 

 

要は、書面の内容、発生する法的効果、相手方がどういう人か、その後の手続きのことを考えて、手段を選んでいるということです。

 

 

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