「顔面考」 | 月灯りの舞

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自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記


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「春日」と言えば、オードリーではなく、
私の中ではこのお方。


とにかくこの人の書く本はスキ。


ヘンな精神科医 春日センセが
「顔」を語るとこんなに
おもろしい。


「顔面考」
春日 武彦:著
河出書房新社(河出文庫)/2009.7.3/820円


月灯りの舞-顔面考

顔には常にいかがわしさがつきまとう。
だからこそ、人は古来、奇態な想像力を発揮しつづけてきた。
観相学、替え玉妄想、ドッペルゲンガー、生来性犯罪者、
醜形恐怖、人面犬・人面疽、整形手術、
マンガやミステリに描かれた顔…
博覧強記の精神科医が、比類なき視座から綴ってみせた、
前人未到の「顔」論。
             <裏表紙より>


第一章「隠された顔、顕れた顔」では
狂気というものは顔にあらわれるのかという
観点で語られる。


アブナイ人というのは、顔を見ただけで、
瞬間的、直接的に感じ取れるものかを
さまざまな角度から検証する。


精神障害者の顔写真を何枚か見せて、
反発や共感から、人の心の奥底を推し量るという
「ソンディテスト」。


サディズム、パラノイア、ヒステリーや
同性愛者、殺人者といった患者たちの写真がズラリ
と並べられる。

どういう顔に親しみを覚えるかで、
その人の精神に同質のものが含まれているかがわかるのだと。


でも、春日センセは、その写真を見てもどれがどういう患者か
“当たらない”し、判別できなくて動揺する。
写真は嘘こそつかないけれど、真実を伝えるとは限らないと。


日本版では、精神患者の写真をそのままのせるわけにはいかないので、
役者が、「狂人」を演じた写真が載せられている。


要するに「演出した狂人」。
表情であり、しぐさであり、狂気の顔が作られていく。
ここも興味深い。


そこから、では漫画では狂人はどう表現されているかにもいたる。
新旧漫画から、「狂人」を描いたシーンを取り出し、
「刃物系」「思考停止系」「三白眼系」などに分類される。

映画や物語から「狂気の顔」の表現を引用しているのも
興味深い。




月灯りの舞-狂人
「精神科アトラス」より狂人たちの写真

左の一番上の女性は「色情狂」の人。
右の上のヒゲの男は「幻聴に耳を傾けている人」
下のヒゲ男は「誇大妄想狂人患者」




第二章「ほのめかす顔、物語る顔」では
性格や人生の顔つきとの相関関係、
外見と性格など「観相学的」な見地からも語る。


顔の持つイメージと実際の性格や内面の
ギャップなどについてもおもしろく語られる。



第三章「生き写しの顔、まがいものの顔」では
顔はそっくりだが、実は全くの別人とすり替わり、
彼らの正体は替え玉だと妄想する「カプラグラ症候群」
について述べている。


実際に、そういう妄想に取りつかれて、両親を殺害した
人の実例だとか、「替え玉」「瓜ふたつ」に関する
小説や論文、「生き写し」や「ドッペルゲンガー」についても
紹介されている。


顔にまつわる奇妙な話や怖い実話、痛ましい精神病たち。


第四章「おぞましい顔、あでやかな顔」
顔の美醜やコンプレックス、醜形恐怖症などについて
語られている。


楳図かずおの「みにくい人」という作品や
小林よしのりの「最終フェイス」という漫画もとりあげられている。
「最終フェイス」は私も読んだが、美醜の価値観が
逆の話で、おもしろいギャグ漫画。


第五章「顔のようなもの、顔であったもの」では
人面犬や人面疸についてもふれていてる。

そして、ポルノビデオの「顔面拷問」というのも
紹介されている。


女性の顔だけを凌辱するというマヌケなものらしい。
女性の職業別にできているみたいなので、そういうマニアが
存在するらしい。



「目から光線もの」漫画や「顔剥がし漫画」なども
紹介されている。



顔と人格は密接なつながりがあり、
顔は心の鏡であるといわれ、顔には精神真実がちらつくが、
全く感情が表情に出ない人や表情が失われてしまう病気もある。


精神科医ならではの「顔」についてのさまざまな考察。
とてもおもしろい。


漫画や写真も多いので、活字が苦手な人も
楽しめるかもしれない。



月灯りの舞-漫画の狂人
漫画における狂人描写のコマ
「高笑い系」
上から、古賀新一、佐藤まさあき、日野日出志、
丸尾末広、つげ義春と
そうそうたる恐怖漫画家さんたちの絵が並ぶ。


「手踊り系」のところで出ていたが、
私の中ではジョージ秋山の狂人が幼児体験的印象かも。



顔面考 (河出文庫)/春日 武彦
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