「R」イリナ・イオネスコ写真集 | 月灯りの舞

月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「R」イリナ・イオネスコ写真集
河出書房新社/2004.10.26/3200円


月灯りの舞-R

甘美さを最もよく識る舌の形を想起させもする
イニシャル Rは、官能のかたちをしている。


優しい曲線を湛えた文様は流麗な肉体のラインにも似て、
罪と断罪の輪廻を繰り返しながら、バロックの
薔薇の花弁を押し広げ、
決して消滅することのない記憶の烙印を
刻み続けてゆくのである。

 「ビロードの女王 イリナ・イオネスコの失楽と快楽」より



ルーマニアの写真家イオネスコは、
女性像を執拗に追求し続ける。


写真集のタイトル「R」は
イオネスコのボディに掘られたタトゥのイニシャル
からとったもの。

彼女の精神科医によって引き出されたたRの言葉の
数々をも物語るという。


自己投影した娘エヴァの裸体を撮り続ける。
未発達でいながら、官能を漂わせる娘の裸体は
残虐な幼児性を抱えていて、妖しい香りを漂わせる。


ふくらみかけた少女の乳房も、
成人した完璧なプロポーションの女性の裸体も
どれもルネサンスの絵画を思わせる。



白い肌、金の髪、黒い陰毛、
黒いボンテージ的下着や白いレース。

黒く縁どられたページの中で
女たちは誘惑の眼差しを向ける。
挑戦的でいて、どこかはかなげで、そそられる。


R
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