「容疑者Xの献身」 | 月灯りの舞

月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記


容疑者Xの献身
東野 圭吾:著
文芸春秋/2005.8/1600円

容疑者Xの献身

数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリー。
これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった。
いやそもそも、この世に存在することさえ知らなかった。
運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪。
               <帯より>




最初に犯人はわかっていて、動機やトリックの謎が
解明されていくという形式。

トリックはあっと驚くとは思うし、謎解きとしては、
綿密な計算でさすがだと思うけど、
心情的には共感できないトリックだった。

石神の純愛は確かに壮絶な献身愛であり、深い犠牲愛だ。
だからせつないのだけど、それを貫く手段が問題だし、
自己満足、独りよがりじゃないのかって思うのがつらいとこ。


愛する女のためにここまでする男の深い献身愛。
でも、はたしてこれは愛なのか、自己満足なのか……。
見返りを求めるどころか、愛するだけで消えていくなんて
究極のアガペ


だけど、だけど、なんか違うんだよね。

確かに純愛だ。
献身愛というか、犠牲愛で、きゅんとなるけど、
せつなさの方向がちょっと違う。

だから、泣けなかった。


まだ、同じ著者の「白夜行」の方が
せつなさ指数は倍かも。



★「白夜行」の感想はこちら
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10006329837.html



それに、ひねくれものの私は、読み終えて、
真実の裏を深読みしてしまった。
男って奴は……。