日米同盟そのものが「抑止力」 | 辻雅之のだいたい日刊オピニオン

テーマ:
力、というとよくそれを客観的に測定しようという人がいたりするのですが、実際には容易ではなく挫折するのが普通です。「首相のリーダーシップの大きさ」「民主主義の浸透度」おおまかにはわかるかもしれませんが、おおまかと数値化は異なります。100と99というふうに明確に差を付けるのは困難なのです。

軍事力にせよ、抑止力にせよ、ことは同じです。それに万が一それが数値化されたとしても、では例えば100の国と99の国が戦争をしたら必ず100の国が勝つのか。そんな議論はナンセンスです。レイティング世界1の競争馬でも、サッカー世界ランキング1位のナショナル・チームでも負けるときは負けます。たとえ100対99とわかったとしても、それは実際にはあまり意味のない数値なのです。

沖縄に海兵隊が何人いれば抑止力が保たれるとか、グアムに海兵隊を引き上げたら抑止力が下がるとか、こういう議論もまたナンセンスなものです。さすがにハワイにまで引き上げたら別でしょうが、グアムに引き上げたら米軍の到着が1時間遅れるので抑止力が下がると、必ずしもいえるでしょうか。1時間遅れても強力な米軍海兵隊が来る、ということが明確であれば、十分な抑止力になるでしょう。

逆に、沖縄に海兵隊がたくさんいても、アメリカが尖閣諸島を日本領だと考えていなければ、日本にとっては尖閣諸島においての抑止力はまったく働かないことになります。あの海兵隊はいるだけだな、日本の基地を利用したいだけであって、われわれと戦うつもりはないな、と見破られてしまうと、それを恐れない国々も現れるでしょう。

つまり、基地がどこであるとか、海兵隊をどこに置くとか、そういうこと以前に「日米同盟は強力であり、アメリカ軍は必ず日本の防衛のために出動する」ということを国際社会に向けて明確にしておかなければ、抑止力がどうであるとか、他に何を努力しても無駄なのだ、ということです。

日米関係がぎくしゃくしてくるなかで、中国は東シナ海から太平洋に向けて本格的な進出を始めるようになっています。尖閣諸島についてもかなり強硬な態度にでるようになっているように思えます。中国は日米関係のほころびを見て取っているのでしょう。今こそ、日米両政権間相互の信頼回復につとめ、本当の意味での「抑止力」強化を図っていかなければなりません。


辻雅之さんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス