私がお世話になっている有機野菜生産者のエツィオとカミッラ。
彼らはもう30年近くも薬に頼らない生活をしているという。
特に抗生剤は絶対に服用しないと徹底している。
先日カミッラと話していたら、
- そういえば、アメリカで抗生剤が効かなくて多数の死者がでていた記事を読んだ?
とのこと。
多剤耐性菌のことを言っているのだろうか?
このことであれば、数ヶ月前に何処かの記事で目にしていた。
確かアメリカで使用可能な26種すべての抗生物質に耐性をもつ細菌に感染した女性が亡くなった、という記事だった。
ただ多剤耐性菌は、通常の常在菌に比べるとかなり稀であり、そのため健常者が感染する可能性は少ないとも。
- 私たちが常日頃から恐れているのは正にこれなの。
話し出したら止まらないカミッラだ。
特にこの手の話題には、、、
- 安価な肉や野菜をスーパーで買わないでって言っているのは、正にこのことなの。スーパーの安い肉や野菜にはどれだけの抗生剤が使用されているか知っている?今の安価に売られている牛や豚は、抗生剤を含ませないと細菌感染を起こしてしまうような、そんな劣悪環境で育っているのよ。養殖の魚も一緒。そんなものを食べていると、もうどれだけの抗生剤が含まれているのかさえわからずに、知らぬ間に沢山の抗生剤をそうやって間接的に摂取し続けていることになるの。その結果がこれ。いつの間にか体内は抗生剤に侵され、真に抗生剤が必要とされる時にはもうその効果すら期待出来なくなる。
本当に恐ろしい話だ。
自分の幼少を考えても、風邪をひいてお医者さんにかかって薬を処方されたら、もうそれは飲むべきものとしてなんの疑いの余地もなかった。
イタリアに来て、抗生剤に対する考えが少し変わったような気がする。
もちろんこちらの抗生剤が強すぎるというのもある。
こちらで抗生剤を服用する時には、毎日同じ時間に1日2回、薬にも依るが大抵は6日前後しっかりと服用させられる。
もう治ったからと途中で勝手に服用をやめてしまうと、効果がなくなるだけではなく、次回の服用の際の効き目すら半減するという。
こうして抗生剤は、出来る限り飲まないようにとなっていった私だ。
カミッラからの影響ももちろんある。
- 私が何故抗生剤を服用しなくなったかというとね、、、
なんでも彼女の娘がまだ5歳の時に41度の熱が出たという。
直ぐに救急に連れて行ったというカミッラ。
そこで言われたことには、、、
- 不可抗力でこれからこの抗生剤を飲んでもらうことになるが、これは” bomba ”つまりは劇薬となる。熱は直ぐに下がるだろうが、今後彼女が成人する位まで、できたら抗生剤の服用は避けて欲しい。
と。
この劇薬により熱は数時間後には38度にまで下がったという。
ただ排尿時の驚くべき臭さは今でも忘れないと、カミッラ。
こうしてカミッラは抗生剤と無縁の生活を送るようになる。
また、頭痛がない日はないというほどにひどく悩まされていたともいうカミッラ。
もちろん薬には頼りたくなかったようで、いろいろと試してみたという。
そして最終的にその原因を突き止めた。
彼女の場合はチーズ(乳製品)だったという。
大好きなチーズをやめたら、それまで頭の上のたんこぶ的存在だった頭痛も消えたとのこと。
もちろん1日1.5リットル以上の水を摂取することも忘れない。
ちなみに義理母もかなりの偏頭痛持ちだが、彼女の場合は、カフェにレモンの皮を入れて摂取することにより少しは治まるという。
こめかみを刺激マッサージして、とは我が家のお手伝いさん。
こんな小さな自然療法的な事が大事だったりする。
薬に頼らずに自分の身体とゆっくりと向き合っていく、私がイタリアで学んだことのひとつでもある。
注釈
抗生剤の使用についてはいろいろな見解があるかと思いますが、こちらではあくまで専門家ではない私が
イタリア人の知人の例を取り上げております。
薬に頼らずに生きていけたら本望ではありますが、病気の状況によりもちろん薬に頼ることも必要な場合もありますし、実際に私も今この世に生きていられるのは薬のおかげでもあります。あくまでこのような意見のイタリア人もいるのね、程度の解釈とご理解頂けたら幸いです。
こちらはルーマニア人のお手伝いさんが持参してくれたルーマニア風パネットーネ