夕方、娘と一緒に宿題をしていると、雷とも地響きともとれる不思議な音と共に、下から突き上げるような衝撃を二度ほど感じた。

初めての体感で、いったい何が起こっているのか分からぬまま、怖がる娘をなだめ、外で怯えていた愛犬シャンティも室内にいれた。

その後、スポーツクラブから戻った夫にその旨を伝えるもの、いったい何の話?と首を傾げられて終わってしまう。

夕食も終え、娘を寝かしつけた頃にまたその悪夢はやってきた。

今度は音も大きく、下からの強い突き上げをしっかりと感じる。

回数が徐々に増えていく。

階下でテレビを見ていた夫が、ウサギのような赤い目をして二階の寝室にやってくる。

” 怖いんだ。とにかくこの古い家にはいたくない。脱出しよう。早く準備して!”

” 脱出っていっても何処にいくの?◯◯だって寝てるのに、、、”

と私が口にした矢先、隣で寝ていた娘が、

” ママ怖い。ここには居たくない。”

いつの間にか目を覚まして、小刻みに震えている。

パジャマの上にガウンを羽織り、娘にもパーカーを着せ、ブランケットでぐるぐる巻きにしてすぐに階下に下りる。

この間にも、地響きのような音は鳴り止まない。

” すぐに車を取ってくるから、玄関口で待っていて! ”

車の鍵を片手に、夫は家を飛び出した。

シャンティが庭先へと走り出し、遠吠えを始める。

救急車が大きな音を立てて通り過ぎる度、明らかに動揺を隠せない姿で遠吠えを始めるのが常のシャンティ。

犬は死と隣り合わせの人間の命や、妊婦の胎動すら感じる事の出来る唯一の動物と聞くが、今も彼女は天地の異変や何かを直感で感じているのだろうか?

” シャンティ、何が起こっているの?”

心の中では叫ぶものの、ブランケットの上からでも感じる娘の小刻みな震えに、動揺を見せてはいけないと判断し、笑顔を繕う。

車に避難した後も、下からの突き上げは続いていた。

車への避難が正しいのかどうかは分からなかったが、確かにそれ以外に考えられる術はなかった。

夫が知人の警察官に連絡をいれる。

どうやら地震が起こっているらしい。
しかも震源地は正に我が家のある辺りという。

横揺れの地震は経験があったが、下からの突き上げるような地震は初めてで、地響きとも雷ともつかぬ異様な低音が更に私たちの恐怖心を煽っていた。

今日が地球最後の日となったら?

考えたくもないが、ついつい頭をよぎっていく。
だとしたら、私はなんて小さな事に下らないエネルギーを費やしていたんだろう。

夫婦喧嘩、些細ないざこざ、娘の我儘への怒り、、、

同時に、地震の規模でいえばこんな比ではなかったに違いない、阪神大震災や東日本大震災の被災者の方々はどれだけの恐怖と戦っていたのだろうと。

涙が出てきた。

怖かった。

いつ終わるんだろう、そればかり考えていた。


地響きの音が聞こえなくなった明け方頃、自宅に戻った。

とはいえ、寝室にはいかず、入り口に近いところにソファーを移動し3人で眠った。

朝起きたら悪い夢だった、そう言えたらどんなにか幸せだろう、、、そう思いながら。


やがていつもと変わらない朝がやってきた。

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かつてのアマトリーチェの街並み
残念ながら2016年8月のイタリア中部地震によりこの姿は消え去ってしまう。
復興にはまだまだ時間がかかる様子である。

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