特養にいる父(認知症 要介護3)に会いに行きました。

 

 

父は、

「おれのカメラはどこにやったっけなあ。カメラは人に貸しているんだよなあ」

と言いました。

 

父は以前から、何かというと写真を撮りたがります。

 

 

「わたしのカメラがあるから大丈夫だよ。これで写真を撮ろうよ」

とスマホを見せました。

 

父は言いました。

「おお、そうしよう。でも、二人で撮るには誰かに頼まないといけない。誰かいないかな」

 

 

自撮りできるようにインカメラに切り替えて、

「こうすれば撮れるから大丈夫だよ」

と、画面を見せると、

「おおー。じゃあ、撮って撮って」

と父は喜びました。

 

ベッドに寝ている父とわたしが入るように写真を撮って父に見せました。

 

「おお、いいね。これを今度、焼いてきて。大中小と3種類あるといいなあ」

父がここで言う「焼く」は写真を現像する、印刷するという意味。フィルムカメラ全盛期の人は写真を焼くと言う。フィルムカメラ、今は逆に新鮮ですね。レトロでかわいい。

 

 

 

大中小と3種類もあってどうするんだろう。

父の言うことに意味はないのに、つい考えてしまいました。

 

その沈黙を父は別の意味で捉えたらしく、

「焼くのはお金がかかるか?」

と心配そうに言いました。

 

「お金は大丈夫だよ。数十円で済むんだから」

と答えると、そうかそうかと安心したようでした。

 

父との会話はテンポよくした方がよさそうです。