ショートステイから帰宅した父に聞いてました。
「お父さん、どこに行ってたの?」
「どこだったかな」
と言う父。
思い出すような素振りを見せつつ、
「地図がその辺にあったはずだ」
などと言います。
ショートステイ先のパンフレットを見せると、
「そうそう、これこれ」
と言いながら眺めていました。
一通り見終わると、
「おれは本当にここに行ったのかな?」
と意見を覆します。
ふと思いついて、
「そういえば、お父さん滞在中にコロナにかかった人が発生したんでしょう?」
と聞いてみました。父のショートステイ中にそういう連絡があったからです。
父はわたしの問いに「そうだ」と答えます。
ショートステイ先のパンフレットの表紙に載っている施設の外観の写真の窓を一つ指差して、
「確かこの辺で発生したと聞いたよ」
と言いました。
真実ではないだろうと思いながら、わたしは
「へえ、さすがお父さん。事情通だね」
と言いました。
父は真実を語ってはいないと思いますが、会話としては成り立っているからいいかな。


