午前中、父にお茶とおやつを勧めました。
お茶を飲んだ父が座椅子に腰掛けたまま言いました。
「どこどこへ行きますからと迎えが来て、車に乗ってどこかへ行ったことがあるなあ」
ショートステイのことですね。
こういう時は、答えを言うんじゃなくて父の世界に合わせた方が会話が続きます。
「どこに行ったんだと思う?」
わたしが問うと、
「どこかわからないんだよなあ。そんなに近くじゃないんだよ。でも、向こうではすごく大事にされたなあ。すごく大事にしてもらえるから、何もしなくていいのかなあ、代わりにすごく大変なことをさせられるんじゃないなかなあと思ったんだけど、ただ大事にされただけだったよ」
と、父は笑いました。
本当にショートステイ先で、よくしてもらってるんだなあ。ショートステイ先の介護士の方々、ありがとうございます。
「あれはどこだったんだろう」
と父が言うので、
「竜宮城じゃない?助けた亀が迎えに来たんだよ」
と返すと、
「竜宮城?竜宮城じゃないよ。竜宮城に行ったのは別の日だよ」
とのことでした。
竜宮城に行った記憶ができてしまった。
その後、
「むかしはトラックの荷台に乗ったものだから、怖くて仕方なかったよ。荷台に荷物が載っているとゴロゴロ転がってさあ。着いた頃にはホッとしたよ」
と別の話になってしまいました。
もっとショートステイの話を聞きたいのですが、父に本当のことを話させるのは容易ではありません。