NHK  小さな旅   - 祈り 海へ -


気仙沼大島より

 

庭先である男性が稲藁を使って船を作っている。

片足で藁を踏んで抑え、上手に束ねていく。

 

それから庭になっている栗やいたどりを集めてきて、船に乗せる。

その船を色とりどりの花で飾ったものは盆船といい、お盆でご先祖様にお供えするものだとう。

 

 

大島にはみちびき地蔵と呼ばれるお地蔵がある。

亡くなった人を天に導くために作られたものだとか。

 

小さい頃、病気で父を亡くした若い男性。

父への思いを込めてお地蔵さんを彫るようになったという。

近所の方達が彫刻刀などをくださった。

 

今は地元で美術の先生をしている。

その男性は震災で地蔵堂が津波に流されてしまったので、お地蔵を復活させたいと思った。

手彫りで丁寧にお地蔵を掘っていく。

地蔵堂には優しいお顔をして、服を着たお地蔵さまが並んでいる。

 

 

お盆には家の前で稲藁で迎え火を焚き、ご先祖さまをお迎えする。

ご先祖様は海から帰って来るという。

 

その女性のお宅にはたくさんのご近所の女性が集まった。

賑やかに料理をしている。

小麦粉を捏ねて小さく切り、茹でている。

 

この方たちは漁師の奥さん。

遠洋漁業で夫は一年帰ってこない。

皆で力を合わせて支え合い、生きてきた。

 

食卓には豪華な料理が並ぶ。

先程の小麦粉を練って作ったものは「ほうろぎばっとう」という、きな粉を塗したデザートだそう。

他にも「てん」と呼ばれる心太もある。

 

そこに、先ほどの美術の先生がお呼ばれした。

彼は各家庭に残る伝統的な生活を残していきたいと言う。

 

このお宅では盆棚とよばれる、お盆でご先祖様をお迎えするための大きな棚が設置されている。

 

色とりどりの花が添えらて、5色のお札のようなお飾りが垂れ下がる。

両脇にはお盆の提灯が置かれている。

 

 

8月16日には海岸に人が集まってきた。

帰省していた子や孫も一緒にご先祖様を海にお送りする。

 

各家庭から持参した盆船を波打ち際に並べる。

色とりどりで華やかだ。

皆て海に向かって、一斉に合掌する。

 

最後に盆船は一ヶ所に集められ、お焚き上げされた。

自然豊かで、海辺の美しい景色が印象的だった。

 

船   船   船   船   船   船   船  

 

最後までお読みいただき有り難うございます。