台湾のツバメ-渡りと留鳥を換羽の違いで区別する | ツバメブログ
2012年05月24日(木) 18時14分51秒

台湾のツバメ-渡りと留鳥を換羽の違いで区別する

テーマ:ツバメ雑学
台湾の話題が続きますが、今回は台湾にいるツバメの個体群を換羽状態の違いで識別した研究を紹介します。

台湾では、現地で繁殖するツバメと、台湾より北の日本、そしてロシアから渡ってくるツバメが見られるのですが、換羽の進行度合いの違いによって、この三種類を区別しようとした研究です。

換羽の段階が異なるツバメの群がいることに気づいて、飛翔しているツバメの写真撮影によってそれらの比較を行ったことは、斬新な発想だと思います。

換羽の進行度合いのツバメが繁殖地が異なるツバメたちではないかというのは、現時点では著者の推測ですが、今後DNAによる解析によって証明することも可能ではないかと思います。

それにしても、台湾でも熱心なツバメ研究が行われていることには共感を覚えますね。
ぜひ行ってみたいです、台湾。

なお、この論文の本文は中国語で読めないため、以下は英文要旨を和訳したものです。

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Differences in the Migration - Molt Interrelation between the Breeding, Wintering and Passage Barn Swallows of Taiwan.
By C. C. Chang

渡りの違い - 台湾で繁殖、越冬、通過するツバメの渡りと換羽の相互関係

張傳炯

2012年3月 台灣中華鳥學會期刊

要 旨

台湾は、アジアにおけるツバメの交差点になっており、さまざまな渡りや留鳥の状態、たとえば繁殖、越冬、春と秋の通過などがある。この複雑さにより、台湾では年間を通して1つ以上の状態のツバメが見られる。異なる逗留状態にあるツバメにおける換羽の進行状態を比較するために、我々は従来のバンディングではなく、望遠レンズにより、空中で採食しているツバメをデジタル写真撮影という手法を用いた。この手法は簡単でありながらも、増加していくツバメを捕獲することなく、効果的に記録することができた。

台湾で越冬するツバメの多くは、10月中旬から11月に姿を現す。そして初列風切のP1から外側に向かって換羽を開始する。換羽のプロセスは、3~4月までにP9まで進み、5月はじめには繁殖のため旅立っていく。

(参考:羽の名称はこちらのHPに分かりやすい図があります

このような遅い到着と遅い旅立ちは、台湾で越冬しているツバメが最も北(シベリア)で繁殖していることを示唆している。

上記の越冬群の他に、ツバメの群がことが、台湾北部で11~1月にかけて見られた(2009-2012年)。しかしながら、このツバメの群は、換羽がP8またはP9まで換羽が進んでいることで区別が可能であった。

初めに述べた11月に換羽を開始するツバメの群に比べて、後者の群は8月には換羽を始めていたはずである。このツバメの群は、中緯度地域(日本)からやってきた越冬群ではないかと考えられる。H. r. gutturalis は台湾に定住していないため、このツバメが台湾の留鳥のツバメである可能性は低い。

一方、台湾で繁殖しているツバメは、アジアで最も南で繁殖しているツバメで、2月後半から3、4月に、新しい風切り羽のそろった姿で現れる。夏期のツバメの中には、繁殖後の6月中旬に換羽を始める個体もいる。8月末までに、繁殖個体群のすべてはP3~P4まで換羽が進み、そして台湾北部にあるMt. YangMingの観察地から姿を消した。このツバメたちはより暖かな台湾南部に移動し、換羽を中断した後に、東南アジアの越冬地に渡るものと推測される。

春に北へ向かって通過するツバメは、繁殖するツバメが到着するとほぼ同時に到着する。繁殖・渡り双方のツバメ共に、羽毛は新しくなっているように見える。一方、秋に南へ向けて通過するツバメは、8月中旬から10月に姿を現す。全般的に、成鳥は内側の風切羽(P1-P4)がすでに新しい羽に換羽している。新旧合わせた風切羽の総数は9枚だったが、これは換羽が中断していることを示唆している。

従って、台湾で繁殖した後のツバメは換羽を継続中で9枚より少ない風切羽しかなく、風切羽の間にすき間があるため、秋に通過するツバメを区別することができる。

以上に述べたような、さまざまな在留状態にある台湾のツバメに見られる渡りと換羽の相互関係の特徴は、最も北で繁殖するツバメは、換羽を始めないまま繁殖後の渡りを開始し、南に位置する繁殖地のツバメは渡りの前に繁殖後の換羽を部分的に行うというNewtonの結論(Moult and plumage :Ringing & Migration, 2009, 24, 220–226)に一致している。

従って、台湾で繁殖しているほとんどすべてのツバメは、渡りの前に換羽をしている。しかしながら、ツバメの幼鳥は巣立った年にその繁殖地では換羽をしないことを注記しておく。

異なる在留状態にある台湾のツバメは、異なった風切羽の換羽の進行状態を比較することで区別することができることが、結論である。

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