アカハラツバメについて | ツバメブログ
2012年03月15日(木) 14時44分03秒

アカハラツバメについて

テーマ:ツバメ雑学
渡り時期や越冬期に見られる、腹の一部や全体に赤味のあるツバメが「アカハラツバメ」と呼ばれることがあり、ロシアで繁殖しているツバメだと言われています。「アカハラツバメ」を捕獲してDNAでも調べてみないことには、実際にどこから来たツバメなのかは分からないのですが、インターネットでロシアのツバメの写真を探してみたので、ご紹介します。

近年ではツバメの亜種はDNAを使った分類で6亜種に分けられていますが、見つかった写真は古い分類に従ったものばかりだったので、まず従来の亜種名の付いた写真を見てみましょう。従来の亜種分類では、日本にやって来そうな繁殖分布にいるツバメの亜種には、極東ロシアで繁殖しているHirundo rustica saturataか、もう少し西の方で繁殖するH. r. mandschuricaH. r. tytleriというのがいます。

インターネットで見つかったのはH. r. saturataだけなのですが、下記のサイトで見られるH. r. saturataの副基準標本は、腹が真っ赤で、ネット上でよく写真を見かける「アカハラツバメ」の写真とは、あまり似ていない印象です。

 http://collections.si.edu/search/results.jsp?q=record_ID:nmnhvz_4293494

下記にもH. r. saturataの記載論文をリンクしましたが(もとのサイトにリンクすべきなのですが、ダウンロードした瞬間にブラウザがクラッシュして、もはや見つけることができませんでした・・・・)、この写真にあるsaturataの副基準標本2羽も、やはり腹が真っ赤です。そして、写真は示してありませんがsaturatamandschuricaよりも赤黒い(much darker red)と書いてあります。

論文の本文(英語です)
Systematic notes on Asian birds. 31. Eastern races of the barn swallow Hirundo rustica Linnaeus, 1758
 http://www.bird-research.jp/k/koyama/tb_blog/hirundo_rastica_saturata_pub/file46729.pdf

写真
 http://www.bird-research.jp/k/koyama/tb_blog/hirundo_rastica_saturata_pub/file46734.pdf

そして下はツバメ (田んぼの生きものたち) に掲載したロシアのダウルスキー自然保護区のツバメですが、撮影地点からすると、saturataか、もしくは上記論文でsaturataと比較されているmandschuricaだと思われます。

ツバメブログ-ダウルスキーの赤いツバメ


H. r. tytleriも写真は見つからなかったのですが、下記のサイトのイラストだと腹が赤いですね。しかし、このイラストはDNAによる亜種分類に従っていて、saturatamandschuricaも、tytleriに吸収されてしまっています。従来の3亜種は、見た目はやや違うものの、DNA解析では大した差がないということになったのでしょう。

 http://www.colorado.edu/eeb/facultysites/safran/International.html

ということは、H. r. tytleriの腹の赤さの程度には、いろいろなバリエーションがあるのではないかと思われます。さらに、ダウルスキーで写真を撮影した方のお話しでは、腹の白いツバメ(おそらく日本で繁殖しているのと同じgutturalis)も見られたということなので、両亜種の繁殖地の境界では雑種(雑亜種?)ができているのかもしれません。

そのようなわけで、いわゆる「アカハラツバメ」は、ロシアで繁殖しているH. r. tytleriの少し腹の赤味が薄い個体か、あるいはtytlerigutturalisが交雑した個体ではないかと思います。

コメント

[コメントする]

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス