チェルノブイリ事故と、放射線によるツバメの異常 | ツバメブログ
2011年04月28日(木) 01時49分54秒

チェルノブイリ事故と、放射線によるツバメの異常

テーマ:ツバメ雑学
福島第一原発は放射性物質の封じ込めに時間がかかるようですが、1986年4月に起きたチェルノブイリ原発事故では、放出された放射性物質のために周辺地域のツバメに異常が現れているそうです。

1991年から2004年の間に行われた調査によると、チェルノブイリでは部分白化(アルビノ)のツバメが15%も見られました。チェルノブイリ周辺とそこから200km離れたカネフのツバメとを比較したところ、チェルノブイリではカネフに比べて卵数は7%、ふ化率は5%、雛数は14%も減少していたそうです。そして翌年も調査地域に帰ってきた成鳥の割合は、カネフでは40%ですがチェルノブイリでは28%しかなく、成鳥の生存率も下がっていることが分かりました。

さらに、チェルノブイリでは23%のペアが繁殖していませんでした。ヨーロッパ各地では常にオスの方がメスよりも少し数が多いために繁殖できないオス(ペアになれない)が少数いるのは普通なのですが、ペアになっているツバメがこれほど繁殖していないということはあり得ません。そして繁殖しないペアの割合は放射線レベルの高い場所ほど高率であったため、放射線の影響により何らかの健康障害を受けて繁殖ができなくなっているのだと考えられます。

以上のことは、下記の論文で紹介されています。

Møller, A. P. and Mousseau, T. A. (2001), ALBINISM AND PHENOTYPE OF BARN SWALLOWS (HIRUNDO RUSTICA) FROM CHERNOBYL. Evolution, 55: 2097–2104.

MØLLER, A. P., MOUSSEAU, T. A., MILINEVSKY, G., PEKLO, A., PYSANETS, E. and SZÉP, T. (2005), Condition, reproduction and survival of barn swallows from Chernobyl. Journal of Animal Ecology, 74: 1102–1111.

それから、この調査に関連した記事がナショナルジオグラフィックのホームページに出ていて、部分白化やクチバシ・尾羽の奇形が起きているツバメの写真を見ることができています。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011042603&expand#title


さて、政府によると、福島第一原発に近い地域であっても現在の放射線量は、

     すぐに健康に影響しないが、念のため外に出ない方がいい


とかいうことですが、24時間外にいて、そして人間よりもずっと体の小さな生きものたちのなかには、ひどい被害を受ける種がいるはずです。そのため事故原発周辺では長期的にさまざまな生物の減少が起きるでしょうし、陸上だけでなく、放射性物質で汚染された水を流された海の生物もまたそうでしょう。

補足(2011/5/4)

本日の報道によると、福島第一原子力発電所の南約20キロの岩沢海岸(広野町、楢葉町)と北約15キロの南相馬市小高区の沖合3キロの水深20~30メートルの海底から、自然状態の1000倍以上の濃度の放射性セシウムとヨウ素が検出されたそうです。今回も政府(原子力保安院)は、

     海流に拡散されて放射性物質の濃度が薄まっているため、
    健康への影響は問題ない


と言っていましたが、ちっとも薄まっていません。

このブログではツバメの話しかしないというのが私のルールですが、それを破って書きます。チェルノブイリで大気中に排出された放射性物質も、風向きなどの影響でホットスポットと呼ばれる地域に集中して降下していますから、海でも海流によって特定の場所に放射性物質が集中するのは予期できていたはずです。

事前にそれを言えば反対にあって汚染水を海に投棄できなくなるから「海で薄まる」という説明をしたのでしょうが、それは原発は絶対事故が起きないと言わないと反対されて建設できないので安全なふりをしてきたのと同じ行動パターンで、こういうことをしていると、さらに大きな人災を起こすことになりかねません。

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