ヒナのいるツバメの巣は、3.5キロ離れた場所に時速129.6メートルで移動できる | ツバメブログ
2007年02月16日(金) 14時42分17秒

ヒナのいるツバメの巣は、3.5キロ離れた場所に時速129.6メートルで移動できる

テーマ:役に立たない知識

ひさしぶりに「役に立たない知識」の二回目を書きます。


今回はヒナがいるツバメの巣を移動させる実験をした話です。この実験のように3.5キロもの移動を試みる人はいないと思いますが、


ツバメの巣が壊されそうなとき、少し離れた場所に移設する


ときには役に立つ知識だと思います。

このツバメの巣移動実験は、おそらく1989年(※)に、米国ニューヨーク州のコーネル大学近くで行われました。論文から移動の様子を書き抜いてみましょう。

6月21日 納屋の梁にあった5羽のヒナがいるツバメの巣を、梁の一部ごとのこぎりで切り取り、巣を木の箱に入れて1本となりの梁に取り付けた。

6月22日 巣を一度に2~3メートルずつ動かして、納屋の入り口のそばまで移動させた。巣を動かすごとに、親ツバメが巣に戻ることを確かめてから巣を次の位置に移動させた。

6月25日 午前7:30 この日の移動を開始した。1~5メートルずつ巣を動かして6.5メートル離れた納屋の角を曲がり、さらに10メートル動かして、巣を車の屋根に取り付けた。ここまでで午後7:30までかかった。そして午後8:00までかかって車を2メートル移動し、この日の作業を終了した。納屋の角を曲がったときは、親ツバメは巣を見つけるのが難しかったようだ。

6月26日 午前4:58 長距離の移動を開始した。巣を移動するたびに、親ツバメの一方が雛に餌をやることを確かめて、次の移動を行った。初めは5~10メートルきざみで進んだが、その日の終わりには100~200メートルきざみで進むことができた。道路の両側に森がある700メートルの区間では、ここを通過する3時間の間は、片方の親ツバメしか巣に戻ってこなかったが、道の両側が開けた場所に来たとたんに両親とも戻ってくるようになった。午後7:30に目的地の橋に到着して、この日の移動を終了した。

6月27日 前日同様の方法で1~2メートルきざみに、巣を全長8メートルある橋の中央まで移動した。そして橋の下に取り付けておいたツバメの古巣にヒナをを移し替えた。

その後、親はこの橋の下でヒナを育てて、ヒナは無事に巣立ったということです。

[出典]
Winkler, DW; McCarty, JP. 1990. Method for transplanting nests of barnswallows. Journal of Field Ornithology. 61(4): 426-430.
http://elibrary.unm.edu/sora/JFO/v061n04/p0426-p0430.pdf


※論文には何年かが書いてないのですが、手がかりになる記述があるので推測しました。


ツバメネット管理人の感想

移動を1例だけ紹介しましたが、この移動実験では、もう1巣の移動も成功させています。工事などでツバメの巣が壊されそうなときは、この方法を使って少しずつ巣を移動させて近くの場所に移すことができるかもしれませんね。巣ごと切り取らなくても、カップ麺の器などの代用巣でヒナが育つことが、ツバメネットに書き込んでいただいた複数のツバメ日記で証明されています。



親ツバメは自分のヒナを声で識別しているようなので、あまり長距離は危険ですが、短距離ならば数メートルずつの移動を繰り返すことで巣の移設が可能だと思います。



というわけで、実は役に立ちそうじゃないですか、この知識は。





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