ツバメのヘルパーについて 2 | ツバメブログ
2006年06月26日(月) 17時01分28秒

ツバメのヘルパーについて 2

テーマ:ヒナタマゴ落とし・ヘルパー
皆さんのツバメ日記にときどき書かれている、両親以外のツバメが給餌を手伝っている行動(ヘルパー)について、以前からよく調べてみたいと思っていました。ちょうど、ゆきさんからもご質問があったので 、この機会にヘルパーについての研究を調べてみました。

インターネットでダウンロードできる研究論文しか調べていませんが(ネットで無料で読める論文はあまり多くないのです)、ツバメのヘルパーに関連した論文が3つ見つかったので、ご紹介します。

なお、以下で紹介している論文で説明しているツバメの行動は、ある時ある場所で観察したらそうだったということで、ツバメは絶対にこううい行動をとるということではありません。ツバメの繁殖行動は、周囲の環境やエサの量、オス・メスの割合などによってさまざまに変化する可能性があるので、これらの研究は、「ある条件の下にいるツバメを観察したらこうだった」という事例だと考えるとよいでしょう。

ツバメの巣におけるヘルパーについて
GERALD R. MYERS AND DAVID W. WALLER, 1977, Helpers at the Nest in Barn Swallows. Auk 94:596.
http://elibrary.unm.edu/sora/Auk/v094n03/p0596-p0596.pdf

1975年に米国オハイオ州で、ツバメにカラー足輪をつけて調査をしています。21の巣のうち、8つの巣でヘルパーが観察され、ヘルパーによる給餌頻度(ヘルパーの給餌÷総給餌回数)は6~28.5%でした。

これらのヘルパーのほとんどは同じコロニーで繁殖している他の成鳥でしたが、1つの巣では、別の巣の成鳥に加えて一度目の繁殖で同じ親から生まれた幼鳥が給餌を行っていて、幼鳥による給餌率は12.3%でした。

さらに調査期間中の7月22~25日に、17~19羽の足輪がないツバメ(観察しているコロニー以外のツバメ)の群れが給餌に加わったことがあり、この期間の足輪がないツバメの給餌率は19%以上になりました。

コロニーというのは複数のツバメの巣がある場所です。コロニーのツバメが互いの巣で給餌し合っているとは、びっくりしました。そんなことが、30年前から知られていたとは・・・・。
ところで、他人ツバメの給餌率が28.5%の巣は、ちょっとエサをいただきすぎすぎですよね。

(青文字はツバメネット管理人の感想です)

ツバメの巣における余分な成鳥について
MANDY M. MEDVIN, MICHAEL D. BEECHER, AND SANDY J. ANDELMAN, 1987, Extra Adults at the Nest in Barn Swallows. The Condor 89:197-182.
http://elibrary.unm.edu/sora/Condor/files/issues/v089n01/p0179-p0182.pdf

1979年と1980年に、米国シアトルで13個の単独の巣(コロニーではないという意味)を観察しています。この研究では、両親以外の成鳥のことを「余分な成鳥」と呼び、ヘルパー行動(抱卵やヒナの給餌)のあるなしに関わらず観察しています。個体識別のための足輪は使わず、ツバメの胸の赤色の薄さや、尾羽の長さの違いで、ペアツバメと「余分なツバメ」を見分けています。

観察した13巣のうち、12巣で余分な成鳥が記録されました。余分な成鳥は、巣によって違いはあるものの、繁殖初期の求愛行動期間から抱卵、育雛、巣立ち後にかけて、すべてのステージに存在しています。

総観察時間40時間中、余分や成鳥による給餌は3巣で12回しか観察されませんでした。

2つの巣では、余分な成鳥が、最終的にもとからのペアのオスとペアになってしまいました。

一方の巣ではペアのメスが死んでしまい、その翌日に、オスが余分な成鳥と並んで眠っているのが観察されました。そしてその後、余分な成鳥は卵を産んでいます。

もう一方の巣では、ペアのメスが産んだ卵を、メスとともに余分な成鳥がときどき温めていましたが、この卵は孵化しませんでした。その後、余分な成鳥は、巣から約10m離れた場所に新しい巣を作り(オスははじめの1日だけ巣作りを手伝いました)、卵を産みました。もとのペアもメスもまた、卵を産み直しました。

両方の巣では同時期に卵が孵化したましたが、オスはほとんどの時間をはじめのメスと一緒に過ごし、オスははじめのペアのメスの子供にだけエサを運んでいました。余分な成鳥の巣では、オスによる給餌は一度しか観察されませんでした。

両方の巣ともヒナは巣立ち、もとのメスは二度目の子育てをしましたが、余分な成鳥はヒナの巣立ちとともに姿を消しました。

以上の観察から、この研究者は、余分な成鳥は1歳のメスであろうと考えています。そして、1歳のメスは繁殖地をよく知らないこと(ツバメは毎年同じ場所に戻ってくるので、歳上のツバメはその場所に詳しいと推測できる)、繁殖地に到着する時期が遅いことなどの理由ではじめから自分の巣で繁殖することができないため、他のツバメの巣にいて、子育てできる機会をうかがうという仮説を立てています。

この研究ではカラー足輪による個体識別をしていないので、あとからオスとペアになったのが、その巣にいた余分な成鳥なのかがはっきりしないものの、その可能性は高いと思います。

ただ、この研究では、余分な成鳥は成熟した成鳥よりも胸の赤色が薄くて尾が短く、幼鳥に近い特徴をしていると書いているるのですが、そんな見分けがつくのでしょうか? 北米のツバメは日本のツバメと亜種が異なり、色も少し違っているので、これは北米のツバメに独特な特徴なのかもしれません。

(青文字はツバメネット管理人の感想です)

ツバメのヒナが自分の親以外の巣で給餌を誘発させることに成功した
GREGORY BALL, 1982, Barn Swallow fledgling successfully elicits feeding at a non-parental nest. THE WILSON BULLETIN 94(3):362-363.
http://elibrary.unm.edu/sora/Wilson/v094n03/p0362-p0363.pdf

この観察はヘルパーについてのものではありませんが、関連しているので紹介しておきます。

1989年に米国ニュージャージー州のツバメコロニー(約80巣)で行った観察によると、巣立ったばかりのヒナが、自分の育ったのとは別の巣に入り込みました。するとその巣の親ツバメは別のヒナがいることに気づいて、はじめは突っついて巣立ちビナを追い出そうとしましたが、数回巣に出入りするうちに気にしなくなり、その巣立ちビナは30分間に2回給餌を受けたということです。

この著者はそれ以上の観察を行っていないようで、巣立ちビナがいつまで他人の巣にいたのか分かりません。しかしこの観察例から、口を開けているヒナに反射的に給餌してしまうのが、ツバメの強い本能であることが分かります。ですから、口をパクパクしているヒナを見ると、それが他人の巣にいたとしても思わずエサをあげてしまうので、ヘルパーツバメになるのかもしれません。

それからこの観察で分かるもうひとつのことは、親ツバメが巣の中に自分のヒナ以外のヒナがいることに、気づくことができるということです。

巣から落下したヒナをもとの巣に戻せないとき、同じくらいの大きさのヒナがいる別の巣に入れておくことがありますが、その場合も親ツバメは気づいているのでしょうか? この観察では進入したヒナの大きさが違っているために気づいたとも考えられますが、いずれにしても親鳥はあまり気にせずにエサを与え続けるようなので、落下したヒナを里親に出してもちゃんと育ててもらえそうです。

(青文字はツバメネット管理人の感想です)

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