イキウメの舞台を初めて観たのは『聖地X』からだったような気がする‥
だからなのか前川作品には乾いたSF小説のような味わいを感じていました
それは今も変わらないけれど、この『奇ッ怪』を観てちょっと印象が変化したというか新たな深層を発見した気分です
それは日本土着の語り部の血脈
仄暗い洞窟の奥で語られる「お話」の魔力に魅入られた語り部たちが連綿と紡いできた言葉のパワー
そして小さな盆栽に宇宙を見出す日本的な感覚‥
それらが一体となって前川氏に書かせた作品のように思えたのです
ラフカディオハーンに怪談を書かせた何かと同じモノが前川氏に取り憑いたとしか‥w
その前川小泉八雲劇場は客席に入った瞬間から始まっているので以下は全てネタバレになってしまうおそれがあります
なのでこれから『奇ッ怪』を観劇予定の方はご了承さい
シアターイーストの天井からは絶え間なく一筋の砂が落ちています
その奥には一本の梅の木と石塔
日本人なら否が応でも龍安寺を連想してしまいます
そして暗転から開幕すると舞台左右に11本の柱が立ち観客は妖の結界の中へと‥本当に心踊る導入部!
あとは騙され化かされれる快楽に身を委ねるだけ‥
そう、ちゃんと最初から仕掛けは見えているのです。ちゃんと狐を打つお話から始められていますから。
でも観客は”あえて”2人の旅人と作家の怪談噺として楽しみながら刑事たちが辿る死者の足跡を固唾を飲んで見守るのです
文句なく面白い
そして骨格のしっかりした本と演出はイキウメの真骨頂!
とにかくストーリー展開が巧みで説明的じゃないのに客席を置いてきぼりにしません
この辺りの魅力が前川作品が海外でも多く上演される所以でしようか‥
2時間ハラハラドキドキ、クスクスしなから夢中で観てしまいます
正直、シアターイーストの椅子で2時間強身動ぎもせずに座っているのはキツいんですが観ている間はなんか一瞬(笑)←おかげで今朝背中が痛い🤣
そして柱が倒れて結界は破られて終幕します
2人の刑事は石塔の下に死体を発見し一応の解決を見るのですが‥
本当に大満足!!
これぞ怪奇譚!!
真夏の夜の夢というよりお盆の迎火のような、それでいて悠久の宇宙の輪廻を感じるそんな舞台でした