施設内で集団体操を任せて頂く機会も多くなってきまして
どんな風にメニューを考えていますか
と質問を受ける事もありますので
今日は私が集団体操を行う上で考えて組み込んでいるのが
タイトルにあるように
『ADLに必要な関節可動域エクササイズ』
になります
ADLとは
(Activities of Daily Living）の略であり、
一般的には『日常生活動作』と訳されます。
日常生活を営む上で、普通におこなっている行為、行動のことです。
具体的には、食事や排泄、整容、移動、入浴等の基本的な行動を指しています。
リハビリで聞く関節可動域訓練とは
関節拘縮を予防し、正常な関節可動域に近づけ、維持する為に、可動域いっぱいに関節を動かす運動療法の事です。
リハビリでは他人の力を借りて、動かされる事が多いですが、
ここでは関節可動域エクササイズにするので動作に理由をつけて楽しみながら自分で動かせる範囲をめいいっぱい動かすようを意識してもらっています。
つまり、
『ADLに必要な関節可動域エクササイズ』が
どういう内容かと言うと
『日常生活動作に必要な関節可動域まで自分で関節を動かし、
楽しみながら運動をしちゃお！』って事です。
今回の介入は特養（介護度3以上の方を対象）の為、
棒を使った内容で
約30分くらいのボリュームで構成しています
特養（特別養護老人施設）で生活されている方の大半は
病気や障がいなどによって在宅での生活が困難とされた高齢者です
その為、
食事や排泄、整容、移動、入浴等の基本的な行動で介護を受けています
入居していると着替えや入浴で手を自ら挙げたり、
浴槽をまたがなくても、車椅子のまま入れたり、
自分の身体を自分で動かす機会が本当に少ないのが現状です
そこでメニューを考える際、
ADLに直結する内容を取り組んでいるという事です
では簡単にいくつかご紹介致します
⒈『室内履きを履く動作』
ベッドから足を下ろし室内履きを履く時
関節可動域はどれくらい必要になると思いますか
イラストを見てもわかると思いますが、
股関節、膝、足首などしっかり曲がらなくてはいけませんし、
膝も少し外に開かなくてはいけません。
つまり、
骨折による術後や高齢者で
・股関節や膝が曲がらない方
・膝が外に開きにくい方
などは靴を履く際に靴べらなどの補助具が必要になるという事です
具体的に
かがんで靴を履く動作で必要な関節可動域としては
股関節屈曲114°
股関節外転27°
股関節外旋24°
膝関節屈曲117°
くらいは必要です
『足首まで棒を下ろせますかー？』
みたいに力まず下ろしていくように声かけをしています
膝までしかいけない。
スネまでしか下ろせない。
色々な方がいますが、「かたいねー」なんて
指摘して楽しみながら柔軟運動が出来ますよ
⒉『丸首シャツの着脱動作』
手が上がらず服を着れない方は多くいますよね
具体的に
丸首シャツの着脱動作で必要な関節可動域としては
手関節背屈40°
肘関節屈曲120°
肩関節屈曲70°
肩関節外転0~45°
肩関節外旋45°
くらいは必要です
肩たたきをする仕草で私は肘を高く上げるように声かけします
肩から背中まで叩いてもらうと気持ちよく動けますよ
『とんかつも肉を柔らかくする時に叩きますよね
硬い背中も叩いて柔らかくしちゃいましょーよ』
みたいに失礼言っています
⒊『椅子での立ち座り動作』
介護で一番大変な移乗動作ですが、
これも一人で出来るようになったら介護が大変楽です
椅子から立つためには身体を大きく前に曲げる可動域が必要です
具体的に
椅子での立ち座り動作で必要な関節可動域としては
股関節屈曲112°
股関節外転20°
股関節外旋14°
膝関節屈曲93°
くらいは必要です
棒を遠くに持っていく動作が
何となくボート漕ぎの動きに似ていたので
『みんなでボートを漕ぎます！
１、２、１、２…
息を合わせないとこのボート沈みますよー』
なんて、アホみないな事言って
みなさんを煽っている北村でございます
それ以外にもご紹介だけ
『お風呂をまたぐ動作』
入浴動作で足を上げる動作は身についていますので
「またぐように足を上げて」と声をかけるとイメージつき易いです
股関節が硬い高齢者も多いので私は積極的に導入します
『手と足を同時に使う脳トレ運動』
認知機能が落ちてきた方は
ダブルタスクといって二つの動作を行う事が非常に苦手です
その為、手と足を同時に動かす内容も組み込んでいます
「手と足が一緒！」なんて笑いながら行う事が出来ます
『運転動作』
運転免許を持っていた方なら意識しやすい動きですが、
肩や手首の柔軟性も必要となります
更に、このメニューは傾いて座っている方がいたら
正中軸の再教育トレーニングとして私は導入しています
最初は目を開けたまま。
次は目を閉じたまま。
「ズレてるよー」なんて笑いながら行う事が出来ます
いかがでしたか？
声かけ方法はたくさんあると思いますので
もし良い方法があればぜひ教えて頂きたいです
集団体操を考える上で、パッケージだけなら
本を見ればたくさん載っていますが
私がやりたいのは今やっている事が
日常生活の何に直結するかです
生活の中でこの運動が少しでも生きてくれれば
集団体操の意味があるかなーって思っています
・わかり易い
・正解や間違いを指摘し易く楽しい
・長く続けられそう
そんな内容を組み込んだ
棒を使ったエクササイズの一例でした
この施設では
一般の方ではなくスタッフ向けに
『腰に優しい起床から移乗までの介護方法を習得』
『スタッフから元気に！痛み改善セミナー』
を、開催予定です
たくさん集まってくれるといいなー笑
そんな模様もいつかご報告出来たらしますね
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北村