◆大荒れの株主総会
6月28日に行われたスルガ銀行の株主総会は、
各紙が伝えているように大荒れだったようです。
「スルガ銀行の株主総会ではどんな説明があったのか?」
たった5ヶ月で、
株価を1/3に減らされたのですから、
株主の怒りも当然と言えば当然です。
そこに、
かぼちゃの馬車を含むシェアハウス投資の弁護団や、
オーナーたちが乗り込んでいるのですから、
荒れないはずがありません。
しかし、スルガ銀行は、
それらをすべて見越して、
対策をしていたようです。
会場には複数の銀行員を配したり、
サクラのような人員を配備して、
備えていたとも伝えられています。
しかも、株主総会前の2日前には、
「「シェアハウス等顧客対応室」の設置について」
といったお知らせまで出して、
株主総会への対応を準備していた節があります。
=== スルガ銀行ホームページより ===


=== ここまで ====
◆支援策の内容は?
それでは、支援策の内容とはどんなものなのでしょうか?
その内容を見ると、
社長直轄で「シェアハウス等顧客対応室」を創設し、
約50名の専従職員を配備して対応するとあります。
顧客対応室が債務者ひとりひとり個別に対応し、
貸出金利の引下げ、元金の相当期間の据え置きなどを提案。
状況に応じて、ADRの活用などで柔軟に対応。
さらには、入居率アップなど収益性の向上を図るために、
大手不動産会社3社と提携するとされています。
◆まるでメリットの無い支援策
しかし、これらの支援策は、
スルガ銀行の1人よがりの支援策であり、
パフォーマンス的な見せかけの支援であると、
言わざるおえません。
債務者にとって、
まったくメリットが無いからです。
貸出金利の引下げ、元金の相当期間の据え置きなどは、
要は「任意整理(リスケ)してあげる」と言っているだけです。
とても支援と呼べるものではありません。
さらに「ADRの活用など」は、
弁護団と被害者団体の引き離しを、
画策しようとしてるとしか思えません。
=== 金融ADRとは? ===
金融ADRとは、
①金融機関と利用者とのトラブル(紛争)を、
②業界ごとに設立された金融ADR機関において、
③中立・公正な専門家が和解案を提示するなどして、
④裁判以外の方法で解決を図る制度です。
裁判に比べてみた場合、非公開の手続で、金融分野に造詣の深い専門家が関与して、トラブル(紛争)の簡便かつ迅速な解決を目指している点に特徴があります。
=== ここまで ===
金融機関は、金融ADR機関から提示された和解案を、
原則受け入れることになっていますが、
債務者の思い描く和解案になるとは限りませんから、
「代物返済」などは到底難しいでしょう。
そして、よく分からない支援策の極めつけが、
「大手不動産会社3社と提携」です。
アドバイザリー契約を締結するとしていますが、
アドバイスをもらって何になるのでしょうか・・・。
スルガ銀行がこれらの不動産会社に広告費を払って、
ガンガン広告をしてもらえるのであれば、
少しは意味があるかもしれませんが、
おそらく口しか出さないでしょう。
しかも、
これらの不動産会社がシェアハウス運営に強いという話しは、
聞いたことがありません。
◆その他の債務者を蔑ろにする支援策
しかもこれらの支援策は、
対象者にメリットが無いばかりか、
その他の債務者を蔑ろにする支援策です。
スルガ銀行から融資を受けているサラリーマン投資家は、
大勢いるわけですが、
かぼちゃの馬車オーナーのような、
シェアハウス投資オーナーだけでなく、
中古マンション1棟、新築アパート1棟のような、
オーナーの方が圧倒的に数は多いです。
「シェアハウス等顧客」としていますが、
そのようなシェアハウス投資オーナー以外にも、
積極的に相談に乗ってくれると言うのでしょうか?
さらには、スルガ銀行から融資を受けている人は、
苦しんでいるオーナーだけでなく、
うまく運営しているオーナーも大勢います。
苦しいオーナーには金利を下げて、
できるだけ回収するように進めて、
うまく回せているオーナーの金利は一切下げずに、
できるだけ多くを回収しようとする。
そんな意図も透けてみえる対策だと感じるのは、
私だけでしょうか?
◆スルガ銀行の役員報酬
株主総会後に、岡野会長や米山社長の役員報酬が、
報じられたのは皮肉としか言えません。
東京商工リサーチによると、
「岡野会長1億9700万円、米山社長1億6800万円」の
役員報酬だったようです。
しかも、岡野会長は9年連続で1億円超え。
ここ10年で合計20億円近くの報酬を
得ていたことになります。
~ 記事一部抜粋 ~
スルガ銀行の役員報酬 岡野会長1億9700万円、米山社長1億6800万円
「シェアハウス関連融資」問題で揺れるスルガ銀行(TSR企業コード:449001504、東証1部)が2018年3月期に、岡野光喜・代表取締役会長ら3名に1億円以上の報酬を支払っていたことがわかった。
スルガ銀行が6月29日に提出した有価証券報告書で明らかにした。1億円以上の報酬が支払われたのは、岡野会長のほか、岡野喜之助・元代表取締役副社長(故人)、米山明広・代表取締役社長。岡野光喜会長の報酬額は1億9,700万円、岡野喜之助元副社長は5億6,500万円、米山社長は1億6,800万円。岡野喜之助元副社長は、2016年7月に死去しており、支払われた全額が退職慰労金だった。
岡野光喜会長に1億円以上の役員報酬が支払われるのは9年連続、米山社長は2年連続だ。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年7月3日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)
~ ここまで ~
◆人の不幸に成り立つ報酬
もちろん上記の報酬が、
人に感謝されるようなことによって得ていたのであれば、
何も言うことはありません。
特にスルガ銀行に対して、
個人的な恨みがあるわけではありません。
しかし、シェアハウス投資に限らず、
会社の業績のため、自分の成績のためだけに、
人を不幸にして得た報酬であれば問題です。
同じ日本という国に住んでいる人間なのに、
会社という組織に所属すると、
どうして相手を思いやることが、
できなくなってしまうのでしょうか。
「奪い合う社会」悲しい限りです。
英語では「お金を稼ぐ」とは、
「make money」と言います。
左から右へお金を移動させて、
人を不幸にさせてお金を得るのではなく、
「お金を作る」「富を生み出す」「勝ちを生み出す」
ことに支援をする銀行が出てきて欲しいなと、
願っている次第です。
=== 日本は超拝金主義 ===

今の日本人は、お金を過度に気にするあまり、大きな自己矛盾を抱えています。今の日本人が持っている「内なる拝金主義」は大きな問題です。
大学生が、好きでもないのに、メガバンクなどの金融機関に就職したがる理由のひとつもお金が重要だと思っているからです。
しかしながら、お金からお金を生み出す職業が、一番金を稼げる(=価値がある)と考えていること自体が間違っているのです。制度や発明など生産性のあることは何もしていませんし、社会に富を生み出していません。それなのに、金融機関に行きたがる若者が多いのは、マスメディアに洗脳されているのです。
(「落合陽一 日本再興戦略」より)