それでは私たちにとって馴染みのあるJANコードを取り上げて、互換性を保ちながらucodeへと組み込むときの例を以下にご紹介しましょう。

ただし、これからご紹介する例はあくまでご説明のための架空のものであり、ユビキタスIDアーキテクチャにおいては、これがそのまま規格化されているものではありませんのでくれぐれもご注意ください。


【手順例】
JANコードには標準タイプ(13桁)や短縮タイプ(8桁)などの異なるコード長が規定されていますが、ここでは標準タイプである10進数13桁で行います。
10進数1桁を4ビット(=2進数4桁)で表現すれば、52ビット(=13桁×4桁)でJANコードの内容をすべて表現することができます。こういった場合、例えば次のようにucodeの128ビット空間を割り当てるとします。



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ucodeへ割り当ててみた例。


割当名

ビット列範囲

領域サイズ

割り当て用途

コード識別子

011

12ビット

コードの種類を識別するための領域

JANコード

1263

52ビット

JANコードの内容をそのまま組込む領域

個別ID

64127

64ビット

商品を識別するための個別のID

各領域の範囲とサイズ、割り当て用途。


まず、0~11ビットまでの全12ビットの「コード識別子」領域ですが、この領域についてはユビキタスIDセンターがJANコードの割り当てをしている組織(JANコードの場合は財団法人流通開発センター)に対して割り当てます。ただし、この例でご紹介しているような「コード体系としての互換性」を必要とする場合に限ります。
そして、ユビキタスIDセンターは12ビット目以下の116ビット分のucode領域の割り当ての権限を、しかるべき組織(この場合は財団法人流通開発センター)に委譲するのです。


次の12~63ビットまでの全52ビットの「JANコード」領域には、もともと製品の「種別」ごとに割り当てられていた「JANコード」を、ユビキタスIDセンターから委譲を受けた流通開発センターがそのまま(10進数から2進数へ基数変換して)組み込みます。


さらに流通開発センターはメーカーなどにJANコードの割り当てを再委譲し、最後の64~127ビットまでの全64ビットの「個別ID」領域には、流通開発センターから再委譲された製品のメーカーなどの組織が同一の種別の製品に個々に割り当てる「個体の識別番号」である「個別ID」を格納します。
この例では「個別ID」領域を全64ビット分、確保されていますので、商品1種類あたり、18,446,744,073,709,551,616個もの製品に個別IDを割り当てることが可能となります。


なお、この割り当ての権限を次々と委譲していくスタイルは、インターネットにおけるIPアドレスの割り当てモデルとも似て、階層構造的な割り当てを行うこととなります。

つまり、世界中の全製品の個々のucodeのすべての領域の割り当てを、一括してユビキタスIDセンターが実施するわけではないということです。