※BL・腐の意味がわからない方、これらの言葉に嫌悪感を抱く方は閲覧をご遠慮ください。
また太妹が嫌いな方もです。
病んでる妹子?珍しくとことん堕とします。ので苦手な方は注意。
****************************
山林を突き抜けるとそこには集落があった。
たいした国ではなかったが、豊かな自然を生かし、人と動物が共存していて住んでいる者は平穏に暮らしていた。
皆で力を合わせてこの平和な国を作り出したのは確かだが、一番はここを統べている豪族が平和主義で民主主義なおかげだろう。
その豪族の家では今、その美しい農村からは想像もつかぬことが起こっていた。
空気を引き裂くような女の声がある部屋から響く。
「あ・・・あ・・・。」
女は顔を引きつらせ目を瞠り、腰が抜けたらしく崩れ落ちていった。
彼女の視線の先には茶髪の青年がいた。更にその先には、胸元を紅く染めた男が倒れている。
青年の頬にはそれと同じ色の液体が伝い、刃物を握っている手は同じく赤がべったりとついていた。
青年はゆっくり振り返り、女のほうを見る。
「ああ、母さん、見ちゃったの?」
青年が薄い笑いを浮かべているのに対し、母と呼ばれた女は相変わらず青い顔をしたままだった。
「お、お前・・・なんで・・・。」
「だって父さん、煩いんだもん。何度言っても僕の言う否定ばっかりしてさあ。
邪魔だし、いい加減悩むのも面倒くさくなったし。」
彼は至って嬉しそうに笑っていたが、柔らかな表情とは反対に背筋が凍るような独特の雰囲気を放っていた。
鉄の臭いが二人の鼻腔を刺激する。
「このことを他言したらわかってるよねえ?母さん。
・・・まあ一族の信用を失うことになるからしないだろうけど。あ、あと僕は飛鳥へ行くから安心して。」
じゃあね、とまるで何もなかったかのように無邪気な笑みを浮かべながら手を振り、部屋をあとにする彼の後ろ姿を、女はただ呆然と見つめることしかできなかった。
***************************
政治の中心となっている飛鳥の地も緑の草地に木々が生い茂っているところだった。
しかしその傍ら、政権が集う朝廷内は常に重苦しい空気が漂っていた。
表向きはそうでなくても、ちらほらと聞こえる裏話には冷や汗が出そうになる。
「おーい、小野!」
名を呼ばれ妹子は声のしたほうを振り返る。
彼に近づいてきたのは同僚の役人だった。
「あいつ見なかったか?」
「あいつ?そういえば今日はまだ見ていないような・・・。どうかしたの?」
「やっぱ来てないんだな。うーん、無断欠勤するようなタイプじゃないし・・・。」
「今日来てないの?僕は昨日夕方に話したっきり見てないけど・・・。」
「そうかー・・・わかった、ありがと。」
彼は無理やり笑みを作り、手を振り去っていった。
妹子もつられて微笑を浮かべ、暫し彼を見送った。
(そうかー、あいつ来てないのかー。当たり前だよなあ。)
妹子は去っていく彼の背景にあった山に一瞥をくれると、腕にある巻物を抱えなおし、書庫へと向かう長い廊下を再び歩き始めた。
********************************
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆あとがき゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
いったん切りたいので太妹要素どころか太子出てきてませんがここで終わらせていただきます。
殺人鬼な妹子さん。恨みがあってというか、自分の意見通らなくて面倒くさくて殺っちゃった、という感じでだいぶさらっとしています。
また太妹が嫌いな方もです。
病んでる妹子?珍しくとことん堕とします。ので苦手な方は注意。
****************************
山林を突き抜けるとそこには集落があった。
たいした国ではなかったが、豊かな自然を生かし、人と動物が共存していて住んでいる者は平穏に暮らしていた。
皆で力を合わせてこの平和な国を作り出したのは確かだが、一番はここを統べている豪族が平和主義で民主主義なおかげだろう。
その豪族の家では今、その美しい農村からは想像もつかぬことが起こっていた。
空気を引き裂くような女の声がある部屋から響く。
「あ・・・あ・・・。」
女は顔を引きつらせ目を瞠り、腰が抜けたらしく崩れ落ちていった。
彼女の視線の先には茶髪の青年がいた。更にその先には、胸元を紅く染めた男が倒れている。
青年の頬にはそれと同じ色の液体が伝い、刃物を握っている手は同じく赤がべったりとついていた。
青年はゆっくり振り返り、女のほうを見る。
「ああ、母さん、見ちゃったの?」
青年が薄い笑いを浮かべているのに対し、母と呼ばれた女は相変わらず青い顔をしたままだった。
「お、お前・・・なんで・・・。」
「だって父さん、煩いんだもん。何度言っても僕の言う否定ばっかりしてさあ。
邪魔だし、いい加減悩むのも面倒くさくなったし。」
彼は至って嬉しそうに笑っていたが、柔らかな表情とは反対に背筋が凍るような独特の雰囲気を放っていた。
鉄の臭いが二人の鼻腔を刺激する。
「このことを他言したらわかってるよねえ?母さん。
・・・まあ一族の信用を失うことになるからしないだろうけど。あ、あと僕は飛鳥へ行くから安心して。」
じゃあね、とまるで何もなかったかのように無邪気な笑みを浮かべながら手を振り、部屋をあとにする彼の後ろ姿を、女はただ呆然と見つめることしかできなかった。
***************************
政治の中心となっている飛鳥の地も緑の草地に木々が生い茂っているところだった。
しかしその傍ら、政権が集う朝廷内は常に重苦しい空気が漂っていた。
表向きはそうでなくても、ちらほらと聞こえる裏話には冷や汗が出そうになる。
「おーい、小野!」
名を呼ばれ妹子は声のしたほうを振り返る。
彼に近づいてきたのは同僚の役人だった。
「あいつ見なかったか?」
「あいつ?そういえば今日はまだ見ていないような・・・。どうかしたの?」
「やっぱ来てないんだな。うーん、無断欠勤するようなタイプじゃないし・・・。」
「今日来てないの?僕は昨日夕方に話したっきり見てないけど・・・。」
「そうかー・・・わかった、ありがと。」
彼は無理やり笑みを作り、手を振り去っていった。
妹子もつられて微笑を浮かべ、暫し彼を見送った。
(そうかー、あいつ来てないのかー。当たり前だよなあ。)
妹子は去っていく彼の背景にあった山に一瞥をくれると、腕にある巻物を抱えなおし、書庫へと向かう長い廊下を再び歩き始めた。
********************************
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆あとがき゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
いったん切りたいので太妹要素どころか太子出てきてませんがここで終わらせていただきます。
殺人鬼な妹子さん。恨みがあってというか、自分の意見通らなくて面倒くさくて殺っちゃった、という感じでだいぶさらっとしています。