「ウエスサイド物語」は1961年のアメリカ映画です。監督はロバート・ワイズとジェローム・ロビンス。出演はナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ジョージ・チャキリス、リタ・モレノら。

 シェイクスピアの「ロメオとジュリエット」に着想を得て、人種の違いで敵対するグループに属する男女の恋愛を描いたミュージカルになっています。もとは舞台劇です。

 

 スティーブン・スピルバーグが再映画化(スピルバーグの映画の公開名は「ウエストサイドストーリー」という原題そのままです)したというのは知っていましたが、先日新聞で大きく取り上げていましたので再度これのブルーレイを観なおしました。

 

 「・・・物語」の冒頭、オーバーチュアの間中、幾何学的というか線で描いた何かが延々と映されて、さて曲が終わるとマンハッタン島の全景が遠景の空撮で捉えられ、その線画のようなものにその景色が重なるところは胸躍る瞬間です。カメラはその中の道路や建物(球場など)を鳥の目で舐めていき、とある舗装された運動場(バスケットコートなどがある)の金網に寄りかかってたむろする若者たちに寄って行きます。

 ここから指を鳴らしながら若者たちが街を闊歩し、敵対するグループがぶつかる場面の中で、有名なあのシーン(ジョージ・チャキリスのY字バランス的なポーズ)が切り取られて多くの人の記憶に残っているということです。

 

 物語は、ポーランド系アメリカ人少年のグループ「ジェット団」とプエルトリコ系アメリカ人のグループ「シャーク団」の間の争い(縄張り争いなどを繰り返す非行少年グループ)を軸に展開していきます。

 ダンスパーティで、シャーク団のリーダーであるベルナルド(チャキリス)の妹マリア(ウッド)は、敵対するジェット団のOBで、あまり気乗りがしないでダンスパーティに引っ張り出されたトニー(ベイマー)と出会い、お互いに一目で惹かれあいます。

 トニーがマリアのアパートに行き、道路から非常階段に出てきたマリアと呼びあい(ロミオとジュリエットのバルコニーの場面)、歌う「トゥナイト」いいですね。ナタリー・ウッドは身長152cmとか?とは思えない大きさを感じさせる姿で美しいです。当時22歳ですかね、輝いています。

 

 また、ベルナルドの恋人アニタ(モレノ)たちが歌う「アメリカ」は移民社会の中に取り込まれてしまわざるを得ない人達の複雑な心境を歌っていて、あらためて今の時代を考えてしまいました。アニタ役のリタ・モレノはスピルバーグの映画にも、人種間の架け橋になるような良い人役で出ているそうで、観てみたいですね。もう90歳ですとか。

 

 冒頭にマンハッタン島の俯瞰シーンからのシークエンスについて書きましたが、これはロバート・ワイズの後の監督作にして大ヒット作(私も大好き)の「サウンド・オブ・ミュージック」の出だしで、ピクニックに行っているマリア(ジュリー・アンドリュース)(こちらもマリアです!)たちを草原の上から捉えて寄っていくところとそっくり同じですね。「ウエスサイド物語」で味をしめたか?(笑)

 

 スピルバーグ版をとても観たくなりましたが、大阪まで出るのがね~ ビビリーな私です。

《紅》