タイロン
『ボスが呼んでるで、早よこいや!』
俺は向かった。
ブンブンブンブン!!
バイクの音が鳴り響く、まじうるさいやつらだ。近所の人はたまらないであろう。ジャマイカ版暴走族だ!
シズラの影響でバイクを乗り始めたunrulyクルー達。
今では30台以上になるイかれた大群である。
しかし、騒音など御構い無しのここはジャマイカ。レゲエの国である。
タイロン『ボスがビデオ撮りたいなら、大金払うか、ボスと行動を共にするのかどちらかにしろ!』
俺はそんな予算なんかない。とりあえず、行動を共にすることにした。奴らは大所帯で動くので、昼に集まっても、中々全員集まらなく、出発は夜になることが多い。
popcaan
『今日はtrigaに俺の地元紹介するぜ!』
ポップコーンはバイブスカーテルの弟子というイメージが強いためポートモア出身と思いきや、セントトーマスの田舎で育ったのだ、ポートモアには少し大きくなってから動いたらしい。
俺たちは2時間くらいかけて、ポピーの地元のセントトーマスへ向かった。バイクと車で動く集団。アホな奴らはとにかくスピードを出す。セントトーマスは道が悪いがそんなのもシカトだ。
しかし、こんな夜に川に行くとは頭がオカシイ奴らだ。一体この先何があるのだろう。
着いた場所は、街灯など皆無の森の中。夜にくると、虫の声や鳥の声がして神秘的でもある。
そんな場所に俺はいた。というか、こんな山奥からあんなスーパースターになるとは、ダンスホールには夢がある。
地元に着くと、酒とガンジャとデカイスピーカーを持って川に向かった。お気に入りの川らしい。でも真夜中なので川では泳げない。何しにきたのか?その時はまだ分からなかった。俺はただバーベキューをしにきたのだと思っていた。
ポップカーンが爆音で曲を流し、飯が出来るのを待っていた。みんなでワイワイ楽しんでいた。ジャマイカのこういう素朴な感じはどこに行っても味わえない。ジャマイカ独特でもある。
新しいmixtapeを聞かしてくれた。聴いたことない曲ばかりだったがどれもかっこよかった。爆音でみんなぶち上がっていた!
めちゃくちゃ美味いシチューチキンをご馳走になり、腹も満たし、もう帰るのだと思っていた。
バン バン バン 銃声が鳴り響く。何が起きたのだろう。