今日は9月議会の4日目。2日目から一般質問が行われており、

今日は二番手で私が一般質問。

 今回は無駄な公共事業の一つである名神湾岸連絡線についてと、

西宮市が自衛隊に18歳と22歳の名簿を渡して自衛隊の勧誘に使わ

れていることを取り上げました。

 以下が壇上での質問原稿です。

 

●一つ目のテーマは名神湾岸連絡線についてです。

この名神湾岸連絡線は、名神高速インターチェンジから阪神高速湾岸線を南に結ぶ道路で、約3年前から工事が始まっている阪神高速湾岸線の西伸部区間、六甲アイランドから長田区までの長さ14,5キロの工事と、この名神湾岸連絡線との供用、いわゆる完成時期を合わせる予定で計画されている有料高速道路です。ルートや構造の概要もすでに示され、長さは約3キロ、片側一車線の二車線ですが、阪神高速3号線とつなぐジャンクション、西宮浜に設けられる予定の出入り口やジャンクション付近では4車線、あるいは5車線の箇所もできる予定で、名神高速からつながる部分では複雑なジャンクションなども絡んで高さは最高で28メートルにも上る予定となっています。

昨年12月にはこの道路の都市計画案作成のための説明会や公聴会が行われ、18人の方が意見を述べられました。この記録を読ませていただきましたが、運送業の方たちから賛成の意見があったものの、西宮浜産業団地では連絡道のルートに引っかかっている事業者の方たちから移転などによる不安、そして、何よりも近隣住民の方たちからは騒音や大気汚染などによる健康被害を心配する声が多く出されていました。

 

現在、この都市計画決定の手続きと並行して国による環境影響評価も行われており、国が県の条例に準じて行った調査が環境影響評価準備書として示され、西宮市や県の意見も聞いたうえで、国が環境影響評価を今後確定する予定となっています。

 

先日は国が環境影響評価を確定する前段階である準備書の縦覧・説明会を、628日の市役所東館を皮切りに7月にかけて4会場で12回行ないました。それぞれ2時間の予定で、説明初日となった市役所東館では、説明時間が1時間30分、質疑は30分しかなく、しかも一人一問しか認められず、十分質問時間が確保されていなかったと聞きました。その後少し改善されたとはいえ、私が参加した西宮浜産業交流会館でも質問は一人一問に限定され、質疑時間が十分確保されていない印象を私も持ちました。

 

同時に国は、その準備書に対する文書での意見表明を受け付けるとともに、準備書に対する公聴会を88日に西宮勤労会館で行い12人の方が意見を述べられました。こちらにも私は傍聴に行きましたが、多くの方がこの計画に反対の立場で意見を述べられましたし、その多くは住民の健康被害や環境悪化を懸念した意見で、地震の影響や景観についても懸念する意見が出されていました。

私なりに要約してそのいくつかを紹介します。

 

  1. 環境影響評価ではその高架の中心線から両サイドにそれぞれ125メートル、合計250メートルの範囲しか行われていないという問題点の指摘。

  2. そのこととも関連して、大気の流れは固定ではなく、NO2やPM2.5などの浮遊性粒子物質などによる健康被害の心配。

  3. 低周波被害や騒音被害の懸念

  4. 最高高さ28メートルというジャンクション・インターチェンジなどによる日照被害や立ち退きの不安。

  5. 阪神淡路大震災では阪神高速3号線が倒壊したので、今後予想されている南海トラフ地震での倒壊や液状化の懸念、などでした。

     

特に今津地域の方々は国道43号線訴訟を闘われた地域であり、この裁判では和解という形で一区切りつきましたが、今でも肺がんや喘息などの方が多いと聞いています。裁判の和解においては、浮遊性粒子物質、SPMと言われていますが、この受忍限度を超えた汚染があったこと、騒音についても受忍限度を超えていると裁判所が断じています。こういった人たちが新たな今回の連絡道の建設で、命や健康を蝕まれかねないという思いを持たれるのは当然だと思います。

 

ですから、まず住民の皆さんは現在の健康がどうなのかの調査をしてほしいという願いを持っておられます。市は、住民の皆さんの不安にこたえルためにも、その前提となる健康調査や、環境の状況や影響を把握することが必要です。

さらに今回の計画では西宮浜にも大きな影響を及ぼすことになります。先ほど紹介した計画概要に対する意見表明された事業者の方だけでなく、近くに学校や住宅地があることから、住民の方たちからも工事中だけでなく建設後も含めて交通事故の問題や大気汚染などの悪化を心配されています。

 

そこで質問です

1点目、なぜ、すでに着工されている阪神高速湾岸線西伸部工事における供用と湾岸連絡線を同時に供用しなければいけないのか。また、湾岸線西伸部の工事の後で、名神湾岸連絡線の事業化を検討することは可能かどうかも併せてお答えください。

2点目、環境影響評価準備書に対する公聴会の意見についての取り扱いと、今後の手続きについて伺います。

3点目、環境影響評価準備書に対する公聴会でも出されましたが、近隣住民への健康調査を行うべきと思いますがいかがでしょうか。

4点目、西宮浜では日常的に大気汚染の調査が行われていません。この計画に危惧を持つ市民の方たちが、大気汚染調査測定局の設置を求められています。PM2.5も含めたSPM測定局を設置すべきと考えますが見解を伺います。

 

●二つ目のテーマは自衛隊への名簿提供についてです。

今回この問題を取り上げるのは、西宮市が今年2月から大学生の卒業予定者、6月には高校卒業予定者の自衛隊の隊員募集のために名簿を電子データで提供していたことを知ったからです。

 

自衛隊への紙や電子データでの名簿提供はこれまでも各地で問題になっていますが、西宮市はこれまで多くの自治体と同様に住民基本台帳の閲覧しか認めていないものと私は思っていました。ところがこの1月、神戸市が今年の7月から電子データで自衛隊に名簿を提供することを明らかにし、神戸市議会でも取り上げられ、弁護士さんを招いての学習会や名簿提供反対の署名が取り組まれるなどの市民運動が大きく広がっていることを知りました。そこで、私は念のために市の名簿提供窓口となったと聞いた市民相談課に確認をしたところ、今年から電子データで提供することになったという回答が返ってきたのです。その時になぜ今年からなのかと聞きますと、自衛隊地方協力本部の西宮地域事務所から担当者が来て、近隣の自治体も提供しているし法的にも問題ないということだったので、市長が協定書を結んで提供したということでした。

 

さらに調べていくうちに、西宮市は以前、2013年度と2014年度の二年間、自衛隊に15歳、18歳、22歳の氏名、住所、年齢、性別の住基4情報を電子データで提供していたことがわかりました。この時期は後でも触れますが、集団的自衛権容認を掲げた安倍晋三氏が第二次安倍政権として復活した時期と重なります。

 

201510月、神戸新聞が2014年度の兵庫県下の自治体の名簿提供調査を行っています。この記事では41の自治体のうち16自治体が紙や電子データで提供していて、西宮市も含めていくつかの自治体が初めて提供したと報じています。

 

第二次安倍政権が誕生したのが201212月で、この新聞記事で注目すべきは、その翌年2013年5月、第二次安倍政権誕生から半年もたたないうちに、防衛大臣名で都道府県知事あてに紙や電子媒体での名簿提供要請が行われていたこと、その要請文に井戸知事が「適切に対応を」という一文を加えて県内自治体へ送っていたこと、そして、西宮市はこの通知を前後して二年間にわたって電子データで名簿を提供していたこともこの記事には書かれています。

 

さて、この15歳の名簿については、陸上自衛隊高等工科高校への勧誘に使われていることがその後問題となります。自衛隊の幹部を養成する目的の学校では、防衛大学校がありますが、この高校も同じ目的でどちらも横須賀にあります。

なぜ、この高等工科高校への勧誘が問題なのか。それは2009年に自衛隊法が改正されて、この高校の生徒の身分が自衛隊員から生徒へと変わったからです。自衛隊法では生徒への勧誘を認めなくなったにもかかわらず、自衛隊法の改正後もこれまでの慣例で、全国のほぼ各都道府県単位で50箇所ある自衛隊地方本部の、実に21地方本部が15歳の名簿も含めて提供を求めていました。2015326日に行われた参議院外交防衛委員会でわが党の井上哲士参議院議員が、実際に滋賀県などで勧誘のパンフレットが送られていた具体例を示して違法性を追求しました。当時の担当局長が「深く反省している」と陳謝、是正を約束しました。

滋賀県といえばこの年に高島市の市立中学校のトイレットペーパーに自衛隊募集と印字されていたこと問題になり、すぐに撤去されたたことで話題にもなった県です。

 

この国会質問から、兵庫県内でも2015年度から西宮市をはじめ4市町が15歳だけでなくすべての名簿提供をしなくなりました。というよりも名簿提供を求めてこなくなったというのが真相のようです。また、この2015年はマイナンバー制度が導入されて通知カードが送付された年でもあり、個人情報についての関心が大変高まったことも、名簿提供自治体が減少する背景にあったと思われます。

 

先日、安倍首相は辞任表明しましたが、もともと日本国憲法改正論者で、憲法9条に自衛隊を明記することを悲願としてきました。そしてその具体化の一歩として2014年7月、集団的自衛権の行使を認める閣議決定を行い、安保関連法いわゆる戦争法を国会に提出、2015年9月19日未明に国会で強硬可決させました。この安保法制によって自衛隊の海外での後方支援や駆け付け警護など武器使用が拡大され、命の危険が高まったことによって自衛隊への応募が減っていったと思われます。

 

こうした政権の動きと自衛隊の応募者数を具体的に見ておきたいと思います。

民主党政権だった2011年度には応募者43529人だったものが、第二次安倍権が誕生した2012年度は29029人へと激減。2013年度は29535人、2015年度21181人、2016年度20444人へと民主党政権時の半分以下になります。その後の20172018年度の2年間は年一回から二回に受験回数を増やしたことでわずかに応募者は増えましたが、それでも2018年度は22452人です。こうした第二次安倍政権誕生から激減していく自衛隊員の応募に対し、業を煮やした安倍首相は、昨年2019213日に行われた衆議院予算委員会で、自治体の6

割が名簿提供を拒否していると不満をあらわにした発言を行い、そこからさらに各自治体への名簿提供の圧力がかけられているのです。

そこで質問です

1点目、これまで電子データ名簿を自衛隊に提出していなかったのに、今年2月から電子データで名簿を自衛隊に提供することになった経緯を伺います

2点目、兵庫県下のこうした名簿の提供状況につい伺います

3点目、こうした名簿を提供することになった根拠法令を伺います

4点目、憲法13条に基づくプライバシー権が名簿提供で棄損されるという認識はないかお答えください

5点目、明らかに自衛隊への勧誘がされることがわかっている目的の名簿提供は憲法違反だと思います。直ちにやめるべきと思いますが見解を伺います。

 

 ※3月議会では会派を代表しての代表質問だったので、昨年9月以来の

一般質問でした。

 毎回満足のいく質問ができたことがなく、今回も反省だらけの

質問でした。

 写真を追加にアップしました。