元句:御所四温門の弾痕影落とす
校正後:御所四温門の弾痕影を濃く
「雲の峰」2025年1月号青葉集掲載。
2024年11月10日、京都ガーデンパレスに於いて、俳句結社「雲の峰」35周年祝賀会を催す。以前より「この祝賀会でトロンボーンを吹いてほしい」と声を掛けられ、楽器を担いで参加した。記念祝典の後、長めの休憩を挟んで祝賀会へ。その休憩中、せっかくなので目の前の京都御所を歩いて吟行でもしようという事になった。立冬を過ぎ、まだ温かさが残る京都御所。蛤御門には、禁門の変の際の弾丸の跡が、生々しく残っていた。その深い穴に冬日が差し、深い影を作っていた。その影の色の深さに、長い歴史を感じて詠んだ句。
元句、弾痕が作る深い影が、冬日と対比しているように見えて「影落とす」という表現にした。しかし、これだと、門そのものが能動的に穴をあけ、そこに影を作らせたように思われる可能性がある。そうなると門を擬人化していると取られてしまう。そういう意図はないので、「影を濃く」と、あくまで門に付いた弾痕は人によるもので、影は冬日によって作られていると読める。これで「門の擬人化」は避けられる。どうしてこういう風に校正されたのか考えた結果、そういう結論に至った。詠もうとしている対象物が、自らその景色を作ったのか、ほかの要素がそうさせたのか。言葉の使い方ひとつで変わるのが面白い。
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