曇天の白より抜けし都鳥

 

「方円」2004年1月号雑詠(現・明象集)掲載。

現在大坂・枚方で月1回土曜日に開催する方円関西句会は、当時京都会館(現・ロームシアター京都)の会議室で行われていた。車で会場まで出掛ける際、必ず川端通りを通る。そこは鴨川の東岸と平行に通っていて、冬になるとユリカモメが多数飛来する。冬の季語でもあるユリカモメは別名「都鳥」と呼ばれ、この時期鴨川で羽を休める様は、冬の京都の風物詩とも言える。カモメと同じように、体はグレーがかった白。曇り空だとカムフラージュされそうな色をしている。この日はまさにそんな天気。曇り空のどんよりした色から、突然降って湧いたようにユリカモメが鴨川へ降り立つ。雲の中から飛び出て来たような錯覚を覚えて詠んだ句。

今は句会の場所が変わった事もあり、また今年前半は外出を出来る限り避けていたという事情も重なったせいで、京都市内を用事で訪れる事がめっきり減ってしまった。ただ、清水寺や金閣寺、嵐山といった所は、人ごみの苦手な私はできる限り寄り付かないようにしている。古都が賑わう事は経済効果もあり、それなりに良い事なのだが、そこに飛び込んでいく勇気は私にはない。しかし、今年は例の病気騒動もあり、様子が変わっているようだ。住民は安どの表情だそうだが、観光を生業にしている方々にとっては死活問題。世の中全員が納得できる結果にはなかなかならないものだ。電車のポスターにこの時期必ず登場する宣伝文句は「京の冬の旅」。願わくば、ユリカモメが羽を休めるのを静かに見守れるような、秩序ある賑わいの中で、京の冬を迎えられんことを。

 

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