泣け

お前はそこで泣け


泣け

泣くならば母の胸に

泣け

泣くならば父の腕で


走り始めたのはいつだったか

足元では既に幾つもの食い散らかされた思い出が芽吹き

時折足首の腱を狙う

疲弊したように思えてその実君の胎内では

飢えた獣が牙を研いでいたことも知っているだろう


泣け

泣くならば小川の中で

泣け

泣くならば悲鳴を上げて


遊び足りない子供の心で

いつまでもいつまでも迎えの来ない夕暮れの中で

回転遊具で回り続けている

その細い手足は真っ直ぐに伸び

スカートの裾を誰かが引くのを


泣け

お前はただ泣け

泣け

お前は自らの死体の数を知っている

泣け

お前は泣け

ただ泣いて