金曜日の朝、成田に着いてそのまま勤務先に直行。
たまっている仕事を9日ぶりに処理して、夜は友人と遅くまで飲食。
日本の日本酒や刺身はおいしい。新鮮で繊細で、安らぎを感じる。

歌舞伎町の「ぶんご商店」から2時間歩いて帰宅。
4時過ぎの東の空はもう明るい。
コンビニでおでんを買って食べて就寝。
昼前に起きて、友人から請け負った校正を少し行う。
夜、彼女がやってきたのでそうめんと鯛の塩焼きで軽い夕食。

今日は昼前に起きて、うどんを打った。
細い麺に仕上げ、つゆにはすりおろした生姜をたっぷり入れる。
午後は彼女と渋谷で買い物をして、彼女は実家、ぼくはアパートへ。
夕食はカワハギとヤリイカの刺身。
赤むつ(のどぐろ)のアラは、塩を振って焼くつもり。
昨日買った「刈穂」の純米酒がまだ残っている。
日本にいると、日本酒と刺身の夕食がとても安くおいしくいただくことができて幸せ。

ベトナムでも、刺身を食べて日本酒を飲んだ。
だけど、値段に見合うほどのおいしさではない。

海外に行くと意外に日本にもいいところがあるのではないかと思うことが増えた。
はじめてイギリスに行った時は重厚な建築物に圧倒され、タイに行った時は屋台でのきままな食事に自由を感じたものだけど、最近は、日本もわるくないと思う。

日本ほど建築物や製品の作りが緻密で、無名のレストランにもホスピタリティを感じる国は少ない。繊細大国だと言えるだろう。
東南アジアでは4星や5星のホテルやリゾートに行っても、ずさんなつくりや対応におどろくことがある。

日本は怠惰な人や無教養な人、自己中心的な人や嘘つきな人の比率がかなり少ないのではないだろうか。
それは、社会秩序を強固にし、日本の社会体制を維持していくために役立っているのかもしれない。役立たせるために、政府が教育に力を入れて、勤勉で正直な人たちを増やしたのかもしれない。
おかげで日本は神経質でストレスをためてあくせくしているまじめな人を増やしてしまうことになってしまったのかもしれないけど、のんびりやのぼくや彼女にとって、日本はとても居心地のいいところだ。

ぼくたちが気ままにのんびりしていても、日本社会のあちこちで心を痛めて日本をよりよくしなくちゃ、なんとかしなくちゃ、とがんばってくれている人がいて、平和な社会をキープしてくれている。ありがたい。
誰かが、日本に生まれただけですごいお金持ちに生まれたも同然、と言っていたように思うけど、あながち間違いではない。

ぼくは世界各地に移住先を物色するような人間だし、日本に生まれたからといっても意志さえあればアメリカ人にでも中国人にでもチベット人にでもアフガニスタンのハザラ人にでもなれると思っている。
日本に生まれて自分のことをあたりまえのように日本人だと思い込んで、日本に不満をたらたら述べている人は、親離れのできていない保守的な人ではないかと感じている。
日本の社会体制に不満がある人は、他の国に移住することを検討してもいい。そのうち、日本の良さに気づき、ストレスが軽減されるかもしれない。


今回ベトナムで訪れたのは、ベトナム中部の古都フエ、ホイアン、タムハイ島、ダナン。
フエではラ・レジデンスに2泊。ここは市街地から2キロ近く離れている。
通常のデラックスルームからリバービューの部屋にグレードアップは1日10ドル。
リバービューの部屋はいい。デラックスルームは4Fなので、椰子の木のむこうに川の流れや市街地の建物を一望することができる。
(スイートへのグレードアップは1日40ドル。バスタブは魅力的だけど眺めはいまいちだったのでパス)
日本のNGOが運営している日本家庭料理店「子どもの家」は残念ながら停電のために閉店。
残念だけど「子どもの家」の人においしい店を教えてもらって「CODO(コードー)」に行った。
簡素な食堂だけど、安くておいしい。
翌日、子どもの家の隣の精進料理店ティンタムを再訪。
5年くらい前に来た時に、唯一感心したベトナム料理が、ここの精進料理だった。
鹿肉もどきの味は変わらず、エビもどきのプリプリ感には驚く。しかも安い。

夜行った有名な宮廷料理レストランTinh Gia Vien(ティンザーヴィエン)は残念だった。
1人20ドルもするのに、レベルが高いとは言いにくい料理。

フロアを走る大きなねずみ。使いまわされている野菜飾り。
(パイナップルに串を刺した跡がたくさん残っている)
電話が鳴るとばたばた走るスタッフ。近くの店から聞こえるカラオケの音。統一感のない盆栽や植木。
料理を出す時も、テーブルにおいてそのまま歩を止めることなく移動。エレガントさを感じない。犬がものほしそうにフロアをうろついているのも高級店だとは思えない。
欧米系の客の姿がなく、日本人が多いのが印象的だ。

町歩きに疲れるとインペリアルホテルの最上階のバーで休憩。コーヒーもビールも高いけど、眺めもよく涼しく、十分価値はある。

ホイアンでは、安宿街に宿泊。
いくつもの宿を見て、最後にThien Thanh(ティエンタン)に決めた。
1泊1部屋35ドルだけど、他の部屋も見せてくださいと言わないと、眺めのわるい部屋に案内されるかもしれないので要注意。
バスタブもあり、窓が広い部屋もあり、まだ新しく、居心地はいい。
朝食も野菜の畑を眺めながら、開放的な気持ちになれる。

翌日はホイアンからタクシーで2時間も南下してタムハイ島へ。
何もないリゾートで3泊。
砂浜沿いに12のビラ。滞在者はぼくたちだけ。オーナーのフランス人一家も不在。
小さな島の中を歩いていると現地の人がぎょっとしてぼくを見る。犬もほえる。外国人があまり来ないのだろう。

ビーチにパラソルとテーブルが用意され、朝食や夕食を楽しむことができる。
ぼくにとってはちょっと物足りない暇な時間だけど、彼女は満足している様子。

2泊目の夜にはスタッフたちがパーティーに誘ってくれた。
島からフェリーと船を利用して、ビーチ沿いに海の家のような食堂が並ぶエリアに移動。
茹でカニや、カキのお粥やエビの刺身などを満喫。
リゾートのoperate manager である Jennes によると、これは天然のエビだからいいものだとのこと。養殖物は汚染されているらしい。

フエのラ・レジデンスにもタムハイ島のラ・ドメーヌ・ドゥ・タムハイにも英語俳句の載っている本を置いてきた。
ぼくの句も少し載っている。
タムハイ島では時間があまっていたので、本を読んだり、椰子の木と青空を眺めながら句を作ったりした。駄句ばかりだけど。

 パラソルの傾き水平線に入る

 風を聴く椰子はパラソルと兄弟

 椰子の木の傾き風を誘うため

 自らの弱さ知る人眩しがる
 

タムハイ島からホイアンに戻り、それからダナンに行った。
途中の海岸沿いは大型リゾートの建設が続いている。
ソンチャー半島のリゾートホテルを見たけど、宿泊するのはやめてダナン市内に移動。
いくつかのホテルを見たけど、あまりいい部屋がない。
最終的にダナントゥーランホテルという大型ホテルのスイートルームにチェックインした。
3星ホテルのスイートは85ドルを提示されたけど、眺めが好きじゃないから70ドルにしてくれないか、と言ったら75ドルにしてくれた。
スイートはさすがに広く、トイレも2つある。バスタブもかなり広い。

ホテル近くの「四季」という日本料理屋に行って寿司や刺身をチェック。
アジの刺身はなぜか切り身の皮側を下にしている。日本の刺身とは逆の並べ方。
寿司は残念ながらシャリに空気が含まれていない。圧縮されている。
おじぎの仕方も、かしこまりました、という執事タイプとか女将タイプのおじぎではなく、奴隷タイプというか使用人タイプの卑屈なおじぎ。ぼくはかしずかれたくはない。
そういえば、メニュー表の日本語表記以上に英語表記のまちがいがひどかった。
校正を請け負いたい。あれはなんとかしたい。

最終日にもホーチミンの日本料理屋に行った。「ととや」というお店。
ここにもちょっと満足できるような刺身はなかった。
納豆チャーハンがおいしかったけど、7ドルは高い。

やはり刺身と日本酒に関しては日本がすごい。
今も、カワハギの刺身に肝をからめ、上等な醤油をつけて口に入れ、秋田の純米酒を飲んでいる。
幸せなひとときだ。

イギリスでも中国でもミャンマーでもどこでも何でもおいしく食べるぼくは、食に関して保守的なわけではない。
日本にいても、お米なんてなくてもいいと豪語している。
だけど、そんなぼくでも刺身はやっぱり日本だなと感じる。
いやぁ、ほんとうに日本に住んでいるなら、野生の魚のフレッシュな切り身と、高度なバランス調整によって産み出された日本酒の繊細な味わいを楽しみことは、すごくお得なことですよ、と日本在住の皆様におすすめしたい。