ドイツとフランスを中心とする欧州の力関係が、フランスのオランド大統領の就任後、変わりつつある。欧州債務危機を緊縮策を中心に乗り切ろうとするメルケル独首相に対し、経済成長を重視するオランド氏が、同様の主張を唱えるイタリアやスペインに接近しているからだ。この4カ国の首脳は、22日にローマで協議し成長戦略の大枠で合意した。会合は欧州政治地図の変化をさらに進める可能性もある。【ベルリン篠田航一、パリ宮川裕章】メルケル首相はフランスのサルコジ前大統領と「メルコジ」と呼ばれるほどの蜜月関係で、欧州連合(EU)首脳会議など重要会合にはサルコジ氏と事前に打ち合わせして臨むのが慣例だった。だがオランド氏は「独仏」にこだわらない。モンティ・イタリア首相、ラホイ・スペイン首相を加えた22日の4者協議の準備を主導するなど、「独仏蜜月」から、より多元的な構図への変化を模索しているようだ。仏政治評論家のアラン・デュアメル氏はオランド氏の欧州外交について「多国間主義で、サルコジ氏の独仏中心主義とは明確に違う」と指摘する。4者協議に次ぎ、28~29日にはEU首脳会議が行われる。最大の課題は、銀行監督機能と預金保険制度の統一を図る銀行同盟や財政統合など、欧州統合を深化させるためのロードマップ作成にある。ここでも、銀行同盟に前向きなフランスやイタリアが、慎重なドイツと相対する構図となりそうだ。メルケル氏は6月に入り、オランド氏が導入を唱える金融取引税に同意するなど、歩み寄りを示す。だが、銀行が破綻した場合に預金を払い戻す預金保険制度の統一には、否定的な姿勢を崩していない。ドイツの預金者保護のため積み立てた資金が、南欧の預金者救済に使われることにドイツ国民の反発が根強いためだ。独仏首脳の間には、個人的な不和の兆しも見える。社会党を率いるオランド大統領は今月13日、メルケル首相よりも先に、友党のドイツ最大野党・社会民主党のガブリエル党首ら幹部3人をエリゼ宮(大統領官邸)に招待した。外交上は異例の行動だ。オランド氏は大統領選期間中、メルケル首相から面会を拒否され続けた経緯があり、「しっぺ返し」(独誌フォークス)との見方がある。知独派のエロー仏首相は「反メルケル戦線の結成か」と問う仏メディアに「絶対に違う」と否定する。メルケル氏も「財政規律と経済成長はコインの裏表」と述べ独仏の協調姿勢を示すのに躍起だ。 ・・・ 平成24年6月22日(金)、毎日新聞 20時5分配信より
 
私のコメント :  欧州の力関係、オランド氏の欧州外交については、「多国間主義で、サルコジ氏の独仏中心主義とは明確に違う」と指摘されている。欧州の力関係の変化が生じてきている。独仏関係についても、更に、今後の推移、注目していきたい。