Ernst Walbは、第4表のような内容をもつ給付系列勘定に関連して、費用および収益を、つぎのように概念的に分類している。まず、費用ないし収益を生ぜしめる給付が、経営の活動目的と直接的に結びつく給付であるか否かによって、 Zweckaufward, Zweckertrag と Nebenaufward, Nebenertrag とに分類する。目的費用ないし収益となる給付には、 (1) 有形資産、無形資産となるべき経済財、 (2) 手数料、保険料、通信費ないし運搬費等の役務給付、 (3) 給料、賃金等の純粋の労働給付、 (4) 利息、割引料等の資本利用を示す給付等があり、給付系列に示されたⅠから Ⅳまでの給付は、概して目的費用ないし収益の性格をもっている。付随的費用ないし収益は、経営活動の目的を遂行するにあたって付随的に生じるものである。たとえば、付随的費用には、次のようなものがある。
(a) 税金、公課のような zwangswillige Aufwand
(b) 福祉施設などへの給付のような freiwillige Aufwand
(c) 盗難、災害、物理的損傷、景気変動による物価下落などのような偶発的な事象における費消を示す Zufallsaufwand
なお、ここでとりあげられた給付系列勘定によって導き出される利益は、Ernst Walb の後著 『金融経済的貸借対照表』 ( Ernst Walb, Finanzwirtschaftliche Bilanz, 2 Auflage 1946, S. 74-101 )の概念規定によれば、Unternehmungsgewinn ということになる。
引用文献 「会計学説史」 近代会計学の展開、 慶応義塾大学 私の恩師 経済学博士 峯村信吉著