【第5回② 「TPP交渉と介護福祉分野への影響」】講師:日本社会福祉事業大学准教授 藤井 賢一郎 | TPP参加の即時撤回を求める会 公式ブログ

【第5回② 「TPP交渉と介護福祉分野への影響」】講師:日本社会福祉事業大学准教授 藤井 賢一郎

 「TPP参加の即時撤回を求める会」第5回会合のお二人目の講演概要を掲載します。


【講演②】 「TPP交渉と介護福祉分野への影響」

講師:日本社会事業大学 専門職大学院 准教授 藤井 賢一郎


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(介護福祉分野への外国人受入れ問題)

○ 介護福祉士の外国人受入れは、フィリピンとインドネシアについてEPAで先行しているが、日本語能力の低さが大きな問題。外国人受入れ先の3~5割において問題が発生し、事故も発生している。


○ 外国人介護福祉士の待遇は日本人同様であり、雇用主が外国人を安価に働かせることはできないため、雇用主側の経済的メリットは乏しい。


○ 介護の質は、マニュアルも限定的であり、評価が困難。しかし、被介護者の自尊心や羞恥心、精神世界を理解しなければ務まらず、これらを外国人が理解することはできない。


(介護福祉分野の目指すべき方向性)

○ 少子高齢化による生産年齢人口の減少により、介護人材不足に陥るおそれはあるが、2025年を過ぎると後期高齢者の増加は歯止めがかかり、介護職員数も増加させる必要がなくなる。むこう15年間は、日本人の雇用をベースとして、介護のシステム構築に務めるべき。


○ 介護サービスは小地域分散が必要であり、地方経済・雇用と深い関係がある。介護保険制度が再分配機能を有しており、今後は従来の公共事業のような役割を果たすものと想定。


○ 介護では、①サービスの質、②人材の資質、③人材の処遇、この3点の向上が課題。看護の社会的地位が向上した背景には、大学をベースとして全体の底上げを行ったことが挙げられるが、介護は、全体の底上げは難しい。専門性の向上を通して、上記3点の実現につなげてゆきたい。


(TPPと経済連携基本方針との不整合性)


○ 現在のTPP条文には、「商用目的の短期滞在」に関する介護職員の移動規定があるだけだが、政府の「包括的経済連携に関する基本方針」では、「人の移動」において、看護師・介護福祉士に触れており、両者に整合性が無い。TPPを進めるにあたって看護師・介護福祉分野での外国人受け入れを緩和する理由が不明。


 出席議員との意見交換では、「介護施設の経営者は安い賃金の人材を求める傾向にあるが、どのように考えるか」との質問が出されました。

 これに対して藤井先生からは、「介護福祉施設では、意識の低い経営者も3分の1程度いることは否定しない。しかし、先生方ご自身が自分であったらどのような介護サービスを受けたいか、その施設に入ってもよいか、という判断基準を持って外国人問題も考えていただきたい」旨の明快な回答があり、閉会となりました。