昨年横浜市への誘致が頓挫した「カジノを含む統合型リゾート」の設置申請が和歌山県でも県議会での否決により見送られました。残るは大阪と長崎の2カ所ですが、そちらでも本市での例と同様のきわめて楽観的な見込みに立った整備計画に対し、将来にわたる甚大な社会的損失を危ぶむ声が続出しています。

 

本市ではIR計画は止まったものの、現在でも山下埠頭でのハーバーリゾート構想や上瀬谷地区の再開発と合わせた国際園芸博覧会の開催、テーマパークの誘致といった超大型プロジェクトが推進されており、これらは何十万m2、何千億円という規模に及ぶ巨大な構想ですが、その事業化判断が年内にも行われそうな状況にも関わらず、客観的な事業性検証や市民の方々への説明が後手になっていることから、関係者を除けば現時点で具体的な内容を把握されている方はきわめて限られているといった状況です。

 

私は大規模開発や国際的イベントの実施に対し必ずしも反対の立場ではありませんが、こうした一方的に物事を進める形では市民理解は進まず、事業見込も効果は最大限、リスクは最小限に見積もるといった現実離れした方向に流されるばかりで、結果として盛り上がらない上に大赤字を出すといった轍をまた踏むことになるのではないかと危惧します。行政が投資を図るのであれば、まず市民の皆様への説明を先に十分に行い、社会の気運を見きわめるまでは、決して見切り発車すべきではないと考えています。