海軍の役割としては、自国や同盟国の輸送船や輸送
船団を保護する(護衛する)ことがある。
第二次世界大戦中、アメリカ海軍は6タイプの護衛
駆逐艦を建造した。
◼️アメリカ海軍の護衛駆逐艦
第二次世界大戦中、アメリカ海軍は6タイプの護衛
駆逐艦を建造した。
イギリスに貸与、ブラジルとフランスに譲渡、高速
輸送艦やレーダーピケット艦に転用した艦を含めて
563隻になります。
同型艦 | 基準排水量 | |
エヴァーツ級 | 97隻 | 1,140トン |
バックレイ級 | 154隻 | 1,400トン |
カノン級 | 72隻 | 1,240トン |
エドソル級 | 85隻 | 1.200トン |
ラッデロウ級 | 72隻 | 1,450トン |
ジョン C. バトラー級 | 83隻 | 1,350トン |
合 計 | 563隻 |
◼️アメリカ海軍のフリゲイト
アッシュヴィルを参考にして、タコマ級96隻を
建造しました。
同型艦 | 基準排水量 | |
アッシュヴィル級 | 2隻 | 1,400トン |
タコマ級 | 96隻 | 1,430トン |
合 計 | 98隻 |
◼️アメリカ海軍のコルベット
大量の護衛駆逐艦が就役するまでの「つなぎ」と
して、イギリス海軍とカナダ海軍から25隻か貸与
された。
同型艦 | 基準排水量 | |
テンプトレス級 | 25隻 | 1,015トン |
◼️日本海軍の海防艦
占守型4隻は、北洋漁業保護のため、太平洋戦争開
戦前に建造された。
択捉型以降は、輸送船または輸送船団の護衛艦艇と
して建造された。
丁型の機関はタービンで、他の機関はディーゼルで
ある。
日本海軍の海防艦
同型艦 | 基準排水量 | |
占守型 | 4隻 | 860トン |
択捉型 | 14隻 | 870トン |
御蔵型 | 17隻 | 940トン |
鵜来型 | 20隻 | 940トン |
丙 型 | 53隻 | 745トン |
丁 型 | 63隻 | 740トン |
合 計 | 171隻 |
◼️対潜能力
日本の海防艦は、ソナーやレーダーの性能が低いので
敵潜水艦の探知能力が低かった。
また、磁気探知機も無かった。
爆雷投射機は改良され、爆雷搭載数も増えたが、探知
能力が低いので、敵潜水艦の撃沈数は少ない。
また、日本の海防艦は、艦橋前に8cm迫撃砲1門を
装備したが、イギリスが開発したヘッジホッグ(24
連装)に比べると、無能に等しかった。
海防艦の迫撃砲は点の攻撃であり、ヘッジホッグは
面の攻撃だった。
◼️対空能力の比較
占守型と択捉型の主砲は高角砲でなく、水上艦艇
用の平射砲で対空戦闘には適さなかった。
主砲が高角砲になったのは、御蔵型からである。
アメリカ海軍の護衛駆逐艦の主砲は、7.6cmまた
12.7cmの両用砲で、平射砲と高角砲を兼用して
いた。
アメリカ海軍は40mm機銃を中距離対空戦闘に使
用した。
日本海軍は、長距離用の高角砲と近距離用の25
mm機銃だけで、中距離用の対空機銃が無かった。
海防艦の25mm機銃も竣工時は、連装2基か三連
装2基にすぎなかった。後日、三連装2基、連装
2基、単装2基に増強されたが、船体も小さく、
限界があった。
護衛駆逐艦の両用砲は近接信管付き砲弾が使用で
き、撃墜率が高かった。
また、レーダーの性能が高く、遠方の機数や高度
を把握できた。
◼️護衛空母との連携
日本の護衛空母5隻に対して、アメリカは護衛空母
を百隻以上保有していた。護衛空母と護衛駆逐艦で
潜水艦ハンターグループを編成し、積極的に潜水艦
狩りを行って、戦果を上げた。
◼️総括
日本海軍は艦隊決戦至上主義で、輸送船や輸送船団
を護衛する兵力を持たなかった。南方資源地帯を占
領する作戦では、アメリカを中心とする連合国側の
戦備が整わず、巡洋艦や駆逐艦を護衛部隊として使
えた。
しかし、ミッドウェー海戦に大敗し、アメリカの本
格的な反攻が始まると、米潜水艦による被害も増加
し、護衛艦不足が深刻化した。
海防艦の隻数がある程度揃ったのは、1944年以降
であり、戦局を見ると少なくとも1年遅れていた。
船団護衛を考えずに開戦に踏み切ったツケが回って
来たと言えよう。