投財堂のドタバタ妄想録

兜町という聖地へ
夢を求め 金を求め彷徨う・・・
市場放浪記、改め・・・・・ドタバタ妄想録。


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第13章


(走る)
間一髪だった!
車道に一歩足を踏み出した瞬間
猛烈な勢いで目の前を通過するトラック。

ふぅ~、危ない危ない。
こんな所で轢かれてたらシャレにならない。

しかし、向こう側の男は・・・
信号待ちをするどころか
来た道を引き返して行った。

どういう事なんだ?

男は考えた。

確かに目が合った・・ように思った。
そう思ったのが間違いなのか?
いや、違う。
間違いではない。
あの男も自分の方を見ていた。
確かに目が合った。

自分の落し物を持ってここまで追いかけて来てくれた
・・はずである。

そうではないのか?

そではないとしたら・・・まさか・・・
信号の向こうにいたのは、どう見ても
うだつの上がらぬオッサンだ。
自分を追いかける理由は例の件ではないはずだ。

だとしたら・・・

「ここまで」追いかけてというのは確かだが
「どこから」追って来てるのか?男には判らなかった。
判らないが・・・追いかけて来て、そして目が合って
自分はここにいる。
では、なぜ来た道を走り去って行くのか?

判らない。
全然理解出来ない。

男は時刻を見た。
午後8時を過ぎている。

今からではもう間に合わない。

間に合わないならば、男の取る方法は一つ。

あの男の後を追いかける。
苦労して手にしたコレを無駄にしたくない。

男は手に中にあるシワクチャになったものを見た。
あのタブレットは、必要なんだ!

多少のリスクは負っても、あの男を追うしかない
それしかなかった。

(14章へ続く)


第1章はこちら
→第1章
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第12章


(逃げる)
女は自分のバッグの中を確認した。

なかった。

バックに入れた携帯電話がない。
しかも、バッグのファスナーは開いたままだ。

開いたままのバッグ・・・
そして走った。

財布とかキーケースは残ったままなので
恐らく、スリに遭ったという事はないだろう。

女は思った。


男と接触した時、男がタブレットを落とし
そして自分もバッグの中から携帯電話を落としていた
・・・としたら?

イヤホンの音量を大きくしてるので
全く気がつかなかった。

人の落としたものは気がついて
自分の落としたものには気付かない。
何とも皮肉な話である。

多分あの人は、私の携帯を拾って・・そして

追いかけて来た!

それを勘違いして逃げてたとしたら・・・
無意識のうちに男の呼び名を
「あの男」から「あの人」に変えていた。

女は立ち止まり、そして振り向いた。

10メートル位後方に男の姿が見える。
しかし男は立ち止まったいた。

立ち止まって何かをしている。

電話のようだ。

男は携帯電話を耳に当て、電話をしている。
しかし、気になるのはもう一方の手・・だった。

男は右手で電話をしている。
そしてその左手には・・・何やら携帯電話らしきものが・・
携帯が2台?
あり得ない事ではない。
携帯を2台持つだろうか?
仕事用とプライベート用という事も十分考えられる

しかし、女は確信した。

あれは
私の携帯だ。

そして男に近づこうとした時・・・

男は猛烈な勢いで走り出した。
逆方向に・・・

どうしたの?

女は男を追い始めた。

(第13章へ続く)



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→第1章


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第11章


(追う)
男は来た道を戻り始めた。
駅前の交番に行こう。

そして、女が落としたこの携帯電話を届ける。
それで終わりにしよう・・・この茶番を。

最初からそうすれば良かった。
最初から交番に届けてれば良かったのだ。

そうすれば、時間の無駄もないし
何よりも、ここまで体力を失わずに済んだのだ。

午後8時を過ぎた。

家では妻が待っているだろう。

早く帰ろう。

その時、男の携帯が鳴った。


(俺)
待て待て・・今ココで、このタブレットを大地に叩きつけても
何の得もない。それどころか
器物破損か何かで訴えられるだろう。
それは困る。

俺は、大地に叩きつける寸前に思いとどまった。

もう止めよう。
もう終わりにしよう。

やる事はやったのだ。

これ以上何をすればいい?

たとえこのタブレットが男の下に戻らないとしても
俺には何の責任もない。
落とした男にも・・・それを拾って俺に託した女にも
俺を非難する権利など何もないのだ。

モノを落とすのはまあいい。
たまにある事だ。

しかし、耳にイヤホン、あれはイカン。

音楽など聴きながら走っていたら
モノを落としても何も聞こえないだろう。

何よりもまず危ないと思うのだが。

音楽に興味のない俺には、そこが全然判らなかった。

そういえば、あの女もイヤホンをしていたっけな。
誰かに追われてるとか言っていたが、どうなったのだろう。
まあいい。俺には何の関係もないことだ。

もう終わりだ、終わり。
茶番は終わりだ。

駅前の交番に行くぞ。

そこで、このタブレットを警官に渡す。
道に落ちていたと言えばいいだろう。

人から渡された・・などと言うと、また話がややこしくなる。

自宅はどうせ、戻った所にある。
戻るついでに交番に寄ってやるから
ありがたく思えよ。

縁があれば、このタブレットはお前の元に戻るだろう。
そう思いながら再び視線を前に移す。

・・すると

信号向こうの男がこちらを見ていた。
ようやく気付いたようだ。
手を振り、俺に何かを訴えかけてるようにも見える
馬鹿め、ようやく気付きやがった。
何の関係もない俺をここまで走らせやがって・・・
そうだ。そうだよ。
今俺が手にしてるタブレットはアンタのモノなんだよ。

しかし、今さらもう遅い。
アンタ・・気が付くのが遅かったんだよ。

ここでこのタブレットをお前に返すつもりはない。


俺は交番へ行く。交番まで走る。
欲しけりゃ、今度はお前が交番まで追って来い!

走り出す寸前、後方で激しくクラクションの音が鳴ったが
俺はもう振り返る事はなかった。

(12章へ続く)

→第12章



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