王様は言いました。

 

「たしかに、私は、天に選ばれた王ではあるが、

多くの人々と、同じ、人である。

 

 

人としての願いは、

王であっても、みんなと同じで、

体が尽きるまで、命をまっとうしたいという事だ。

 

しかし、これまでに、

病の種類や、虚と実や、脈の見方、顔色、呼吸の変化など、

たくさんの話を岐伯に聞いたのに、

私はまだ、病というものが、はっきりと分かっていないのだ。

だから、もし、邪が体にひっついたのに気がつかず、

どんどんしみこんで深くなって、

骨髄にまでとどいてしまっていたら、と考えると、

いつも、こころの中に、心配があるのだ。」

 

王様は、正直に、病についての不安な気持ちを、岐伯に話しました。

でも、王様だけじゃありません。

だれだって、

もし、気がつかないうちに病になっていたら、

もし、病がどんどん深くなっていたらどうしよう、

と考えはじめたら、とても心配になります。

 

岐伯はこたえて言いました。

 

「王様、どうぞ、そんなに、不安にならないでください。

 

たしかに、病の時の声の変化は、とてもわずかですが、

それでも、生えかわりで秋に抜ける動物の毛のように、

とても細いと言えども、目に見ることは出来ます。

 

分かることは、きっと出来ますので、安心してください。」

 

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