王様はあらためて、今朝の脈を岐伯に診てもらいました。

岐伯がじっくりと、脈に手をあてている間、

王様もじっと、その様子を見ていました。

 

「良い脈です、今日もお元気ですよ。」

 

岐伯が言うと、王様は聞きました。

 

「やはり不思議だ。

どうして脈で、体の中が分かるのだろうか…。」

 

首をかしげる王様に、岐伯は言いました。

 

「では王様、体の中の国のことを、思い出してください。」

 

皆さんは覚えているでしょうか?

体の中に国があり、十二人が支えています。(王様の中の国2)   

 

「体の中に邪が入るという事は、  

国で言えば、敵が攻め入ってくるようなものです。

敵をやっつけて追い出そうと、戦いが起こり、

国じゅう大騒ぎになります。

 

体の中の国でも、

敵である邪が入れば、五臓たちが、体の中から無くそうと戦います。

すると、体の中はおだやかではなくなるので

脈も顔色も、いつもの様子とは変わっているのです。」

 

王様の国は、隣の国と戦争をしたことがあります。

戦いが長くなれば、軍隊だけなく、

国土にも、民にも、傷は及びました。

 

 

王様は、王様の治める国、体の中の国、

どちらも平和でありたいと願いました。

 

しかし、隣の国はまたいつ攻めて来るかもしれませんし、

体の中には、いつも邪が入ろうとしています。(昔の治療法5) 

 

そこで王様は、岐伯に聞きました。

 

「岐伯よ、敵とはいつでもいなくならないものだ、

ではいったいどうすれば、平和でいられるのだろうか?」

 

岐伯はこたえて言いました。

 

「それは、強さが、大切となります。」

 

「強さとは、軍隊のことか?」

 

王様が聞くと、岐伯はこたえて言いました。

 

「いいえ、王様。

強い、という字は、殻の堅い虫の様子から来ています。

ですから、強いということは、守りが強固であるという事です。

 

五臓に強さがあれば、 

しっかり固い体で、外から侵入されず、

体の中に大切な物を囲って、取られないように守れます。

 

強固な守りをいつも保つことが出来れば、生きますが、

出来なければ、大切なものを取られて死にます。」

 

それは国でも同じです。

敵は隙があればいつでも入り込み、大切なものを奪おうとします。