今日も寝坊。でも今日も旅しよう。

パンをかじりながら地図を開き、ざっくりプランニング。どこに行くか、どれに乗るか。寝坊が決め手になることもある。

KSR号のリアボックスに昼食その他を詰めて、出発。

 

空は黄砂。遠くは白く霞んでいる。

気温はほどよく、雨の心配の無い、お出かけ日和。

KSR号は快調。交通の流れをリードする。やっぱり先週のVTR250とは気構えが違う。2ストローク80ccは元気があって大変よろしい。

R365を北上し、高時川。…の桜は散った。でもそんなの関係ねぇ。葉桜も美しい。はい、おっぱっぴー。

 

今日の目的地は天増川である。(これで「あますがわ」と読む)

人間誰しも行き止まりが好きなものだが(断言)、天増川林道は地図を見る限り大変魅力的な行き止まりである。

川に沿ってどんどん標高を上げ、勢い余って滋賀県境を超えて、一時、福井県にまで入ってまた戻ってくる。それはおそらく山の稜線を越える行為。

情報によると、終点は広場になっていて見晴らしも良く、昼食を楽しむ場所として申し分無さそうだ。期待がふくらむ。

 

今津からR303で福井県方面へ向かう。

途中、水坂トンネルから道は下り始めるが、これは中央分水界を越えたからで、ここから先の水は、琵琶湖ではなく若狭湾に流れていく。

滋賀県なのに地形的には福井県の要素が強い。こういうのが地形変態マニアにはたまらんのです。

ということで、スタート地点はR303の滋賀福井県境。

「天増川口」というバス停があり、ここはギリギリ福井県のようだ。ギリギリchop。たまらん。

 

分岐から天増川に沿って、1車線の狭い道を北上する。

ギリギリ崖の上を行くように、フラフラしたっていいじゃないかよ。(←ギリギリchop)

初めての道。たまらん。

白く輝くシャガ(かな?)の群生。たまらん。

10軒ほどの小さな集落、その名も「天増川」たまらん。

ここは現役だが、この先に人の住む集落は無い。思えば遠くへ来たもんだ。海援隊。

 

と、ここで通せんぼをするガードマンが。

「この先通行止です」

うん、行き止まりは知っている。通り抜けはもともとできない。

土砂崩れかと聞くと、そうではなく電線関係の仕事で止めているのだと。

行けるところまで行けないかを尋ねると、

「万が一のことがあってはいけませんから」の返答。

残念だが、人の良さそうなガードマン氏に従って、引き返すことにする。

 

万が一。その言葉に引っかかる。

工事云々ではなく、万が一の危険がある道は、これまでもよく走っている。というか、林道なんてほとんどそうである。

仕事と趣味。日常と非日常。安定と不安定。価値観の違いがそこにはある。

まぁ、また来よう。

 

新たな目的地は、熊川宿からほど近い河内川ダム。

思ったより立派で、思ったより新しいダム。

竣工は2019年。堰堤のコンクリートが白い。

ダム湖を一周できるように道が付けられている。静かな湖畔には東屋などもあり、昼食スポットにもいいな、などと考えながら走る。

 

整備された広場、真新しいキャンプ場もある。

最奥のピクニック広場はかつて水没した河内集落跡地でもあるようだ。地図と、離村した人々の名前一覧まである。ダムに歴史あり。

そしてトレイルマップ。歩く登山道とは別に、奥に伸びる林道もありそうだ。

これは楽しそうだ。たまらん。

 

後編に続く。