【長谷川館長コレクション 絵馬シリーズ】

 

 資料館の2階には壁面一杯、たくさんの絵馬が掛けられています。

 

 石川県白山市三宮町二にある、白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)です。






 日本三名山の一つに数えられる白山(はくさん)は「白き神々の座」として古くから都人たちのあこがれの山でした。その白山を神体山とする白山比咩神社は、全国に約3千社もある白山神社の総本宮で、地元では「しらやまさん」とよばれ親しまれています。樹齢千年といわれる杉やあすなろがそびえる表参道や境内には、荘厳な雰囲気がただよいます。

 


 絵馬には、御神体の白山を背景に社殿と御神木の老杉が描かれています。大きな御神木は、表参道手水舎前にあり、根元の周り約12m、胸高幹周り約10m、樹高約42mの巨木で、樹齢はおよそ800年といわれています。(白山市指定天然記念物)

 

 

 (菊理媛尊)

 御祭神の白山比咩大神(しらやまひめのおおかみ)は、またの名を菊理媛神(くくりひめのかみ)といい、ご縁を「くくる」神といわれ、現在では「和合の神」「縁結びの神」として崇敬を受けています。

 

 『日本書紀』によると、天地が分かれたばかりのころ、天の世界である高天原(たかまのはら)に、次々と神が出現し、最後に現れたのが、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)でした。この男女の神には、国土を誕生させる「国生み」と、地上の営みを司る神々を誕生させる「神生み」が命じられました。

 伊弉冉尊が火の神を出産した時のやけどで亡くなってしまうと、悲しんだ伊弉諾尊は、死の国である「黄泉の国」へ妻を迎えにいきます。ところが、醜く変わった妻の姿を見て伊弉諾尊は逃げ出してしまい、怒った伊弉冉尊は夫の後を追います。

 黄泉の国との境界で対峙するふたりの前に登場するのが菊理媛尊で、伊弉諾尊・伊弉冉尊二神の仲裁をし、その後、天照大御神(あまてらすおおみかみ)や月読尊(つくよみのみこと)、須佐之男尊(すさのおのみこと)が生れます。
 白山比咩神社では、菊理媛尊とともに伊弉諾尊・伊弉冉尊も祭神として祀られています。