秋の深まりとともに鍋料理が恋しい頃となりました。

 四日市の伝統工芸品の萬(万)古焼、実は土鍋が有名です。全国シェア8割なんだとか。しかし、これは萬古焼なんて思いながら鍋を食べる人はあまりいないでしょうね。


 東海道四日市宿資料館には萬古焼の展示があります。

 紫泥の急須と土鍋がよく知られています。当館の語り部も萬古焼が好きで、ある時は作家さんに会い、ある時は実物を見たり資料で調べたりして日々学んでいます。
 

 私にとって、萬古焼は身近な存在です。子どもの頃から当たり前に食卓にありました。何だか妙に派手な色柄の器もありました。

 後で知ったのですが、それらは輸出用の商品で、父が知り合いの萬古屋さんから在庫品をもらったものでした。
 

 萬古まつりは5月の大型連休の喧騒が落ち着いた頃に開催され、市販価格よりより値打ちに売られていますので多くの来客があります。毎年のように出かけては何かしら買いました。

 

 今は7号の土鍋が重宝しています。これこそ、最も有名な萬古焼、TVドラマ等で頻繁に登場する「花三島」です。

 鍋料理はもちろんカレーなど煮込み料理など幅広く使えます。


萬古の土鍋「花三島」

 それ以上に年がら年中使っている萬古焼は、ごはん鍋として販売されている土鍋です。子どもたちが食べ盛りの頃は4合炊きを使用しましたが、家族が減った最近は3合炊きに替えました。

 人からは「土鍋でごはん炊くの難しいでしょ」と言われますが「そんな事ない。簡単、簡単」と布教(?!)しています。説明すると長くなりますので今回は省きますが、ほんとうに簡単なのです。


萬古ごはん鍋「菊花 ごはん土鍋」

 かつてはガス火でしか使えなかった土鍋も最近はIH対応が当たり前、レンジ調理用もあります。デザインも洗練されています。ずっしり重いのが難点だった鍋も軽さをうたった商品が増えてきました。

萬古の急須
(使用した写真は、すべて我が家で使っている萬古焼たちでした。)

 萬古焼は知名度も増し、通販でも手軽に手に入ります。
 最近、萬古土鍋の重要な原料である鉱石ペタライトの調達が難しくなるという心配なニュースを耳にしました。土鍋の材料として60年以上前から使われています。何とか解決して、この先も長く萬古の土鍋の生産が続いていく事を願ってやみません。  (Y)