前回の記事で比較や説明しきれなかった部分があるので続く。

今回はややマニアックな話題かも。

 

 

WR155RとXTZ125について残る比較部分は

 

WR155R 軸間距離:1,430mm
XTZ125  軸間距離:1,340mm

数字を見ての通り、WR155Rは軸間距離が9センチ長い。

 

 

これはスイングアームがXTZ125より長いことが理由で、スイングアームを延長することでサスペンションが沈み込んだときの角度変化が小さくなり、挙動の安定化を図ることが出来る。より高い運動性を求められるWR155Rなら納得のセッティングだ。スイングアームはスチールの角パイプ製だが、耐久性とコストを考えればこれで十分だろう。

 

 

続いてWR155Rのエンジンに採用されるVVAについて。シンプルな構造でシングルカムエンジン(SOHC)に可変バルブ機構を実現しているが、実際にどういったものかを確認してみよう。

 

 

 

ちょうどいい画像がネットにあったので拝借(殴)

ブルーコアエンジンのヘッド部分を開放した状態。画像中央の上側が吸気、下側が排気のロッカーアームで、中央にカムが一本配置(シングルカム)されている。VVAのカムはこんな形状をしている。

 

画像左と中央のカム山が吸気側、右側が排気側で、1本のカムに3つ並んでいる。XTZ125の場合はカム山が2つである(純正カムシャフトの画像では無いと思われるので悪しからず)

 

 

エンジンの回転と連動してカムが回転し、ロッカーアームを押し上げたりしながら給排気を行うのがエンジンの基本動作である。VVAは吸気側に低回転用と高回転用のカムとロッカーアームを供えており、回転数によって使い分けるという機構だ。では、理屈ばかりだとイメージしづらいので、実際にどう動くのかは動画で確認。

 

 

 

 

 

低回転の状態では、低回転側と高回転側のロッカーアームは繋がっておらず、低回転側だけがバルブを押している。高回転側は動作こそしているものの、吸気バルブに動きを伝えないフリーの状態である。回転数が一定以上になると、ロッカーアームを連結するピンが押し出されて高回転側と接続、2本のロッカーアームが連動して動くようになる。そして高回転側のカム山は低回転側よりも外径が大きい(リフト量が大きい)ため、高回転側の動作のみが吸気バルブに伝達されるわけだ。理屈を知れば「こんな簡単なことか」と思うような仕組みだが、この機構を実現させたヤマハのエンジニアには拍手を送りたいところ。

 

 

シンプルな機構はそれだけ発展性があり、今後のエンジンにも様々な形で採用されることが期待される。比較的安価でありながら、低回転から高回転まで気持ちよく回る250ccエンジンの登場など、まだまだ楽しみがあるのは嬉しい限りである。個人的には親しみやすい空冷エンジンも生き残って欲しいと願っているし、今後のバイク市場が少しでも盛り上がればと願っている。

 

そんなわけで今回はここまで