塔 2010年10月号 10首選 (佐藤陽介) | 塔を読む会 ~トウドク~

塔 2010年10月号 10首選 (佐藤陽介)

(誌上掲載順)


1. ティッシュ半分箱から出でて立ちたるがをりをりさやぐ扇風機の風に    河野美砂子   8頁


2. ゆうぐれの向こうに深い山のありとんとんとんとんふうちゃんねむれ     竹田 千寿    9頁

 

3. 富士山の次の高さの山の名を児に問われたり立秋の日に           安原 誠子  12頁


4. 能面の下に謡える厚き顎かすかににじむ汗ひかりいき            中島扶美恵   32頁


5. 赤い鞠細いどぶへと落ちるたび地面にこすりて汚れ取りたり         筑井 悦子   37頁


6. 木槿(ムクンファ)と言ひたる君のやはらかき声の遙かに七月に入る      苅谷 君代   50頁


7. どの型も血液足りませんと言う声の響きぬ真夏の駅前            西川 啓子    90頁


8. 鳴きやみて飛びたつ鳥にひとしずくためらうごとき瞬間のみゆ        永田 聖子   90頁


9. まるくまるくなりいる母をふんわりと包みてどこかへゆこうか どこか    数又みはる  118頁


10.私が一日行かない日があったその日に何が起きたのか知りたい      河内 幸子  145頁