【体操】
寺本11位、田中16位で入賞逃す 女子個人総合決勝
2012.8.3 02:32
女子個人総合決勝 段違い平行棒を終え、笑顔を見せる田中理恵=ノースグリニッジ・アリーナ(共同)
体操競技の女子個人総合決勝を行い、日本のチーム最年少で16歳の寺本明日香(レジックスポーツ)は57・332点で11位、主将を務める田中理恵(日体大研究員)は55・632点で16位となり、ともに入賞を逃した。金メダルはガブリエル・ダグラス(米国)。米国は3大会連続で金メダルを獲得した。
女子個人総合決勝 平均台で跳躍する寺本明日香=ノースグリニッジ・アリーナ(共同)
寺本は全4種目でミスのない落ち着いた演技を見せた。1種目目の段違い平行棒は14・300点、2種目目の平均台14・300点、3種目目の床では13・966点、最後の跳馬は14・766点だった。決勝を終えた寺本は「やりきった感で満足。全部濃密にできたことがうれしい。最高の思い出になった」と語り、次回のリオ五輪への意欲を見せた。
女子個人総合決勝 田中理恵の段違い平行棒=ノースグリニッジ・アリーナ(共同)
田中は1種目目のゆかでラインオーバーなどのミスが響いて13・266点。続く跳馬で着地が乱れ、14・166点と苦しい滑り出しとなった。3種目目の段違い平行棒ではスムーズな演技を見せ14・500点、4種目目の平均台は13・700点だった。 田中は「自分が今できる精一杯のことをやったので、最後まで笑顔であきらめないで演技することができたのでよかった」と笑顔で語った。
【柔道】
「めちゃくちゃ、うれしいっす」 コロンビア銅メダルに涙する日本人指導者
2012.8.3 10:00

女子70キロ級3位決定戦で勝利したユリ・アルベアルを祝福するコロンビアの早川憲幸監督=1日、エクセル(共同)
日本柔道の不振がクローズアップされる陰で、教え子の銅メダル獲得に涙を流して喜ぶ日本人指導者の姿があった。コロンビア代表の早川憲幸ヘッドコーチ(31)。女子70キロ級で3位に入ったアルベアルは、2009年の就任以来、手塩にかけて育てた選手だ。「自他共栄」の柔道の心は、地球の裏側でもささやかな実を結んだ。アルベアルは09年世界選手権の女王だが、今回は同国の柔道界が初めて手にする五輪のメダル。畳を降りたまな弟子と長い抱擁で喜びを分かち合い、「めちゃくちゃ、うれしいっす」と早川氏の涙は止まらない。明大時代は73キロ級の俊英。指導者を志してコロンビアに渡り、同国のオリンピック委員会と契約した。柔道の下地に乏しい国での指導は悩みが絶えない。選手は時間にルーズで、練習の開始時刻を1時間早めて伝えなければ定刻には集まらない。競技人口が少なく、ジャムを売り歩く子供を道場に誘ったこともある。遠征費を抑えるため、格安航空券や安宿を手配するのは早川氏。月額30米ドルの薄給で文字通り身を粉にしている。五輪の3位決定戦はさすがに足が震えたが、アルベアルには悟られぬように「技ではなく気持ちで戦え」と笑顔を作った。3位決定戦では腕力と体力にものを言わせて格が上の中国選手を破る殊勲の星に「メダルの色は何でもよかった。五輪のメダルは、こんなに(喜びが)違うんですね」。メダルの色に貴賤なし。指導者として目からうろこが落ちる発見でもあった。指導者契約は今年限り。ついこの前までは残る気はなかったが、今は「五輪(の指導者)はやめられない」。4年後の舞台は同じ南米のリオデジャネイロ。第2のアルベアルと、もう一度歓喜を分かち合いたいとも思っている。(森田景史)
【柔道】
落日のカウントダウン 五輪史上初の男子「金なし」へ
2012.8.3 00:54

柔道男子100キロ級2回戦 押さえ込みで一本負けの穴井隆将=2日、エクセル(門井聡撮影)
男女各1階級を残し、いまだに「金なし」が続く日本の男子柔道。エース穴井でさえも悪い流れを断ち切れず、望みは最終日の100キロ超級、上川大樹に託されることになった。1988年ソウル五輪以来の異常事態に、海外メディアも強い関心を寄せており、迫る“Xデー”をあおる動きもみられる。当初の見込みは男女で計6個。男子の篠原信一監督は「60、66、73キロ級がカギ」と軽量級でのスタートダッシュを描いていたが、目算は狂った。上川の出る100キロ超級には、世界選手権4連覇中のリネール(フランス)ら強敵がそろう。上川は対照的に、2度の代表選考会で敗退しながら“消去法”で選ばれた。金を当てにできる状況には遠い。全柔連会長で日本選手団の上村春樹団長は「柔道の不振が日本選手団に影を落としているのは間違いない。柔道で金6個はほしかった」と落胆の色をにじませる。日本選手団が目標とする「金メダル数で世界5位」には15~18個が必要で、“お家芸”の不振は後半競技への負担増を招く。1日現在の柔道のメダル数を見ると日本は金1、銀2、銅3の計6個でトップ。だが、金メダル数は韓国とロシアが各2個で日本を上回る。1日に行われた男子90キロ級のメダリスト会見では、韓国メディアが金を獲得した自国の選手ではなく、銅に終わった西山将士に「今の日本は、韓国が苦しめられた以前の日本と違う。選手としてどう思うか」と質問するなど、“お家芸”の異常事態に食いついてきた。1964年東京五輪で柔道が正式競技になって以来、ボイコットした80年モスクワ五輪を除けば、男子の「金なし」はない。ソウル五輪で日本の危機を救ったのは、現全柔連強化副委員長の斉藤仁。当日朝の計量時に、神経を張りつめたコーチ陣に対し、斉藤氏は「このピリピリした空気がいいですね」と笑い飛ばしたとの伝説が残る。「周りを気にする必要はない。自分のことだけを考えてやればいい」と斉藤氏は上川にアドバイスを送る。上川はロンドンの「斉藤仁」となるのか。「上川大樹」の名を上げるのか。あるいは“Xデー”に自ら手を下してしまうのか。(森田景史)


