専大玉名、初の甲子園 投手戦、熊本工破る
2011年7月27日0時50分
優勝を決め、喜び合う専大玉名の選手たち=藤崎台
72校66チームの頂点を決める一戦は、最後の瞬間まで気迫がぶつかり合った。熊本大会は第16日の26日、熊本市の藤崎台県営野球場で決勝があり、シードの専大玉名がノーシードから勝ち上がった熊本工を投手戦の末に下し、春夏を通して初の甲子園出場を決めた。全国大会は8月3日に抽選会があり、6日開幕する。
■4回、2死から決勝点
(専大玉名1―0熊本工)
両校の投手が持ち味を発揮し、野手も無失策でもり立てる――。決勝らしい緊迫したゲームを制したのは、好機を確実に生かした専大玉名だった。4回、1死から園道が中前にチーム初安打。2死の後、ややスタートが遅れながらも「自信がある」という足で二盗を決めた。打席の田中は「直球が来る」と読んでいた。フルカウントからの6球目、外角の直球を左前にはじき返し、園道が二塁から一気に生還。「2死から得点できて良かった」と、田中は貴重な一打を振り返った。続く長谷野も96キロの変化球に食らいつき、右中間に二塁打。二、三塁と好機を広げたが、熊本工のエース松木が粘りの投球で後続を断った。左腕の松木は、ゆっくりと右足を上げる独特のフォームでこの日も打者のリズムを崩した。一方の専大玉名も、先発の江藤が低めを意識した投球で打たせて取り、救援した園道は140キロ超の速球で三振を奪うなど投手戦となった。好守備も目を引いた。専大玉名の捕手田中は盗塁を2度刺し、三塁手の篠崎はピンチに落ち着いて打球をさばいた。熊本工中堅手の江崎は、準決勝に続く華麗なダイビングキャッチで球場を沸かせた。5回以降は熊本工が押し気味に試合を進めた。専大玉名が1安打にとどまる一方で、毎回のように得点圏に走者を進めた。9回、熊本工は1死から増田が死球で出塁。犠打で二塁に進み、スタンドの興奮が高まるなか、4番寺岡が追い込まれながら外角の直球を左前に打ち返した。二塁走者増田は「絶対同点に追いつく」と一気に本塁へ。だが、専大玉名は冷静な中継プレーで捕手田中に返球。走者と交錯した田中は、倒れながらミットを突き上げた。ベンチを飛び出す専大玉名の選手たち。一呼吸の後、松本浩一球審の右手が力強く挙がった。

