タイトル:流浪の月

著者:凪良ゆう

発行:東京創元社

発行日:2019年8月30日

 

 

 

 

 

 

2020年の本屋大賞受賞作品。

実写映画も決定し、2022年には全国ロードショーとのことです!!

凪良ゆう「流浪の月」広瀬すず&松坂桃李主演で映画化! 監督は李相日 : 映画ニュース - 映画.com (eiga.com)

 

 

 

 

この作品の正直な感想。

 

しんどい。

 

これに尽きる。

年明けに少し読んで、メンタルにダメージありそうだったので1回断念したけど・・・

それでも、今回ちゃんと読破して、本屋大賞1位に納得できる作品だと思った。

 

読んでよかった。再挑戦してよかった。

 

社会的な問題をうまいこと表現している気がする。

生きにくい社会に、この2人に、とても共感できた。

「自分、社会からはみ出てるなぁ」みたいに思っている人に、是非読んで貰いたい。

当然解決なんてしないけど、すごい共感はできるので。

 

 

 

P83

わたしは亮くんが好きだ。

それとは別に、わたしの意志を確認してほしいと望むのは贅沢なのか。

わたしはただ、差し出された愛を笑顔で受け取ればいいだけなのか。

 

与えたい愛の形と、受け取れる愛の形って違うよね。

 

 

 

 

P106

今はもう品物は眺めるだけになった。

集めてもこぼれ落ちていく。

だから手に入れない。

持たずにいれば捨てずにすむ。

そのほうが楽だと。

 

 

 

P123

「頼りになる身内のいない人間にとってさ、彼氏は恋愛以上に、普通の社会生活送ってくための必需品でしょ。

引っ越しとか入院とか、いざってときの保証人になってくれたり。(省略)」

 

これ、本当に困る。

一人で生きていける仕組みになってないんだなって、最近本当に痛感してる。

晩婚化、少子化とかの問題もあるし、ジェンダー的な認知度も高まってきたので、

そろそろ社会構造の見直しが必要かなと思ってる。

 

 

 

P139

でも多分、事実なんてない。

出来事にはそれぞれの解釈があるだけだ、泉ちゃんには泉ちゃんの、亮くんには亮くんの。

 

本書のなかで、最大に救われた言葉。

 

 

 

P140

幸せにするから、と亮くんは言った。

けれどわたしは、自分がなにに幸せを感じるのかよくわからない。

様々に降りかかる嫌なことから心を守っている間に、わたしは自分の輪郭をどんどんぼやけさせてしまった。

自分がなにに傷つき、何に歓び、何に悲しみ、何に怒るのか。

けれど、わからなくても、もう前に進まなければいけない。

 

感情を殺しすぎた結果、よくわからなくなることあるよね。

 

 

 

 

P248

人と人がただ一緒にいることすら、目に見えないルールのようなものがあって、わたしと文は出会ったときから、そこからはじき出されている。

いつも居場所がない気分というのはひどく疲れる。

 

 

 

P298

(省略)目に見えなくて、どこにあるかもわからなくて、自分でもどうしようもない場所についた傷の治し方を考えた。(省略)

唯一の救いは、そんな人は結構いるということだ。

口にも態度にも出さないだけで、吹きさらしのまま雨も風も日照りも身に受けて、それでもまだしばらくは大丈夫だろうと、確証もなくぼんやりと自分を励まして生きている、そんな人があちこちにひそんでいると思う。

 

みんな傷だらけ。どうしたらいいんだろうね。

手の届く範囲は、なんとか助けてあげたいけど。

見えているのに手が出せない距離の問題が、一番しんどい。

 

 

 

 

 

 

子供は自分の身なんて守れないし、ちゃんと保護者が保護して然るべき。

家以外に帰れる場所がないのだから、どれだけ嫌なことがあっても家に帰るしかない子供のことを、もっと考えてほしい。

もう、本当に、死ぬにも死ねなくて、学校帰りに誰か誘拐してくれとか、後ろから刺し殺してくれる通り魔とか待ってたよね・・・

いやぁ、あの頃も大変だったなぁ・・・

 

正直ねぇ、子供からSOS出すのは無理だよね。うん。

学校とかにも散々ポスター貼ってあったけど、あんなところに電話する勇気あるわけない。

保健室の先生?担任?相談室のカウンセラー?行けるわけがない。

子供ながらに、後先のこと考えたら、こっちから「助けて」なんて言えないのよ。

そんな勇気あったら自殺してるわ。悪いけど、察して助けてくれ。

 

根本的なところ、

家庭なんて隔離されて見えない場所にもずかずか入り込んでくれる組織が必要。

親(大人)の人権とかプライバシーなんぞよりも、子供の保護を優先してほしい。

 

―――と、大人になった私は思うので、ガンガン政治に参加して意見を発信して、

子供のためによりよい日本社会を築いていきたいね。

※端的に言ってしまったのでかなり乱暴な発言になったが、家庭自体への救済などもいろいろ考えねばならない。

子供に対する扱いの問題は、親の育ってきた環境や現状の経済的状況・社会的立場などの問題とも少なからず関わっていると考える。

子供を助けるのは当然ながら、その親のケアなどもけして無視していいことではない。

少子化なのだから、もっと広い範囲で子供の面倒を見てあげられる社会を目指していきたいよね。

 

 

 

 

なんか・・・読書の感想としてはなかなヘビーなものになってしまったな・・・

 

TOP画は以下からお借りしました!

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大人になったら、もっとたくさんのことができると思っていたけど、まだ足りない。

何かを変えるには、誰かを助けるには、まだ全然力が足りません。