以前に、S&P500の時価総額上位10社に投資するというTracersの投資信託のことを記事にしました。

 

 

普通に考えて、リターンへの期待とともにリスク(値動き)もそれなりに大きいだろうなぁという感じでしたが……

 

https://www.nikkoam.com/fund/detail/645115より

 

設定(5/16)以降、7月までは株価も好調でしたし、為替も円安方向でしたから順調に基準価額も上がっていました

ただ、7月以降株価の下落幅を見るとやはりS&P500よりも大きめですね。

 

7/11の最高値12,110円から8月上旬の下落の底は8/6の9,144円ですから-2,960円下落でしたので、7/11までに購入した方はもれなく元本割れという状況ですね。下落率は▲24.4%でした。

 

まあ、設定から2ヶ月も経たないうちに20%以上基準価額が上昇しているわけですから、コンセプト通りといえばコンセプト通り(上がるときはドーンと上がるけれど下がるときはドーンと下がる)ですかね。

 

一方でS&P500の国内投資信託を見ると、例えばeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、7/11の最高値32,813円が底は8/6で27,091円で-5,722円、下落率は▲17.4%でしたから、やはり当初から言われていた通り、トップ10についてはリスク高めの投資信託といって良いかと思います。

 

 

今日の記事は、同じS&P500をスタート地点としつつも、ある意味対極に位置するであろう指数(ETF)についてです。

投資信託クリニックのカン・チュンドさんのブログで紹介されていました。

 

 

詳しくは本文を見ていただければですが……

 

ざっくりとした話としては「S&P500均等指数」というインデックスと連動するETFがあり、設定来のパフォーマンスはS&P500を上回っている一方、直近5年で見ればS&P500の方が成績が良いという結果になっているという話ですね。

 

カンさんは、この現象について「中小型株の株価が落ち込み(あるいは伸びず)、かつ、時価総額が巨大なテック系企業の株価が殊更上昇した」のではないかと分析し、「ここに、市場の偏り(集中)を垣間見る」と結ばれています。

 

まあ、その帰結として冒頭に再紹介したトップ10のような尖ったインデックスを対象とするような投資信託も登場してきたということなんでしょうね。

 

この記事を書くにあたり、特に何を意図して比較したということではないんですが、このS&P500均等指数と、一般的なS&P500の直近1年間のチャートを見ていてちょっと違う動きをしているなぁというのに気づきました。

 

https://finance.yahoo.co.jp/quote/%5EGSPCより

 

これが一般的なS&P500指数です。

 

https://www.spglobal.com/spdji/en/indices/equity/sp-500-equal-weight-index/#overviewより

 

こちらはS&P500均等指数です。

 

縦軸の比率が異なりますから、単純にどっちが上とか下とか、伸びてるとか伸びていないとかは比較しづらいんですが、一見して今年に入ってから7月までの上がり方は明確に違いますね。オリジナルのS&P500は順調に上昇していますが、均等指数の方は全体としては上昇していますが、特に春以降はほぼ横ばいといっても良い程度です。

 

このあたりは半導体株すなわちオリジナルS&P500の大きな割合を占める銘柄が強力にけん引してS&P500指数を引き上げていた時期ですから均等指数の場合は(そのけん引の主役となった銘柄の構成比率が低いので)その恩恵にあずかれなかったということでしょうね。

その代わり、8月の下落の影響も限定的で、この期間に関しては比較的リスク低めでありながら米国株式の成長をそれなりに享受できていたとみることもできそうです。

 

緩やかに上昇しているように見えても1年間の騰落率は24.5%というので悪くは無いですよね。(もっとも、オリジナルのS&P500は32%以上上昇していますが)

 

カンさんの記事と、この1年間のチャートの比較から、この指数に投資する意味合いを考えてみたいと思うんですが……

 

https://www.cnbc.com/quotes/RSP?tab=profileより

 

カンさんの記事中でも引用されているCNBCのサイトで作ったオリジナルのS&P500と均等指数の比較チャートです。

 

カンさんの記事では均等指数の設定来(だいたい20年くらい)だと、均等指数の方がパフォーマンスが良いと解説されていますが、途中2009年あたり(リーマンショックのころ)2020年のコロナショックのあたりは均等指数のパフォーマンスが悪くなってオリジナルの伸び率に近づいていることがわかります。

 

これはどういうことか……

中小型株の割合がオリジナルに比して多い均等指数は暴落時には耐性が低いのかもしれませんね。

倒産などに関するリスクが高まるでしょうし、悪化する経済環境の中で事業継続や利益の確保、向上に要する資金が足りない可能性は高そうな気はします。

 

一方、大きな暴落が無い(上がったり下がったりはあるにせよ)平常時には、成長の期待が強い特定の企業や業種に依存しない(特定の銘柄の構成比率が低い)ことにより、それらの銘柄にありがちな急激な株価変動を抑制できるといえるのではないかなと。

 

というあたりを踏まえると、資産規模が自身の望むレベルまで達して、あとは安定的な運用を望むような投資家……

分かりやすいところで言えば、これからまさに老後生活をスタートさせるような場合にはハマりそうな気もしますかね。

 

単にリスクとリターンに関する数字の問題だけで言えば、もっと分散しているオルカンとか、S&P500と現預金もしくは債権ファンドとかの組み合わせでも同程度のリスク・リターンにすることはできそうですけれども、仮にこのS&P500均等指数のみでポートフォリオを組みのだとすれば、それは(単にリスク・リターンの調整ということではなく)もっと明確なコンセプトがベースにある感じになるんでしょうね。

 

イベントバナー

 

すなわち「アメリカの成長を信じる」、その一方で特定企業や業種に偏りがちな危うさも認識して「リスクを低減したい」というようなニーズに対応するという感じでしょうか。

 

まあ、ほんとにそういう意図を持った、あるいは市場でそのように評価されている指数なのかどうかは知りませんが、ここまでのチャートを見る限り、そういう意図をもって保有するインデックスとしてはアリなんじゃないかなと。

 

実はこのあたりの感覚は、僕の老後資産のイメージに結構寄り添う感じではあるんですけどねぇ。

ただ、現状はこのインデックスに対応する国内投資信託は(たぶん)なさそうで、米国ETFで保有するしかないのかな。

現状は米国株式、ETFにまで保有資産を広げる気は無いので、たぶん手を出すことは無いです(;^_^A

(既に存在していましたので、以下に青文字で追記)

 

(逆に言えば国内投資信託で、この指標に連動するものが出てくれば考えるかも……まあ、さすがにそんなマニアックなのが出てくることはないかな(;^ω^))

 

2024/9/26追記

良く調べずに上記の通り書いてたんですが、この指数に連動する投資信託……ありました。(;^_^A

 

 

今年の5月から運用開始の新しいファンドですね。

 

信託報酬とETFの信託報酬を合せた実質的な負担が年率0.53%(税込)というのは昨今の低コストファンドに比べるとうーん……という感じでしょうか。

あと、目論見書を見ると分配金を出す方針のように見えるんですが、この指数に投資=安定的に資産を増やしたいというニーズなんだとすれば、ちょっとチグハグな感じもしますね。

もっとも、上記のような老後資産(=自分年金)として保有、目減りを抑えつつ自動的に取り崩してくれる投資信託というニーズならまあ、アリなのかな……

ともあれ、取り急ぎ訂正(追記)しておきます。

 

ランキング参加中です、ポチッとしていただければ密かに喜びます( *´艸`)

にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ にほんブログ村 投資ブログ 投資日記へ にほんブログ村 投資ブログ 資産運用へ

 

PVアクセスランキング にほんブログ村