ビルエバンその最後の演奏がすごいと書きましたが
本当の最後の演奏はキーストン・コーナーです。
ビル・エバンスが最強のトリオと言っていたのは
ワルツ・フォー・デヴィを含む4部作のメンバーである
ドラマーのポール・モチアンとベーシストのスコット・ラファロ、
そして最後のメンバーであるベースのマーク・ジョンソン、
ドラムのジョー・ラバーベラであるとビル・エバンス自身が語っています。
ビル・エバンスは、ジョンソンとラバーベラと演奏するのが、
楽しいとインタビューでも答えていいました。
パリコンサートの時は、このメンバーと演奏のソロでのバトルを繰り返していましたが
流石に、もう亡くなる2週間前の演奏であるキーストン・コーナーでのライブは、
メンバーは完全にサポートに徹していて、各人のソロパートはすごく少ないです。
長年の麻薬に身体が蝕まれて、ドラムのラバーベラの回顧録ではステージに上がるのも
介助を必要としていたとのこと。
なのに、ピアノの前に立つと活力を取り戻し、凄まじい演奏をするので
周りの人は、ビルの体力は大丈夫だと思ってしまったということです。
ライブの演奏を聴くと、人は生きているのではなく、生かされているのでは?
と思ってしまいます。
蝋燭が燃え尽きる時に、炎が一番強く瞬き、辺りに自身の証を示すように
ビル・エバンスのピアノは、ガラス玉のように輝き、
美しく、そして力強く、それが私達の心を魅了します。
ビル・エバンスの人生の全てがこの瞬間に瞬いているような感覚
決して悲しくない、ただ、あまりにも美しすぎて、何故か涙が出てきます。
キーストンコーナーでのライブはNo8まであるのか?わかりませんが、
これは、本当に聴いた方が良いアルバムです。
サブスクにもあるので・・本当に美しい。
死を意識していたのは、ビル・エバンスだけだったのでしょうが
彼がこの世に残そうとしていたもの、美しい演奏と、気高い意識に
讃辞を贈ることしか出来ません