今日は、結婚式を挙げなかったカップルは離婚しやすいのかということについてです。

 

二週間ほど前にある中小企業の勉強会で講演をしたのですが、講演後の懇親会にて、あるブライダルを企画する仕事をしている方から話しかけられました。この方は、入籍はしたものの経済的なことなど様々な理由で結婚式を挙げることができなかったご夫婦に対して、行政の立会いの下で結婚式を行うシビル・ウエディング(人前結婚式)が実現できないかということを考えられています。

 

私も、東京財団の研究員としてフランスに地方自治の調査に行った時に訪問した村役場で、村役場に隣接している議会議場にて結婚式を行っていると聞いてびっくりしたことを思い出しました。議会の関係者が進行役を務め、神様ではなく、参加者の前で愛を誓う儀式を行うというやり方です。

調べてみると、フランスは政教分離の原則かどうかはわかりませんが、教会での結婚式とは別に、市役所での人前結婚式を行うことが、法律上の結婚として認められるための必須の手続きとなっているようです。国が変われば、結婚の届けについての規制も変わるものですね。

 

私は、結婚に際しては神様の前で誓うべきだと思っているので、フランスが羨ましいとか進んでいるとかということは全く感じませんでしたが、この方がどうして人前結婚式を九州の自治体でも行うようにしたいと考えたかというと、入籍したが結婚式を挙げていないカップルの方が、入籍して結婚式も挙げているカップルと比べると、離婚率が非常に高いというデータがあるからだということでした。

 

一理あるとは思いました。神様の前で愛を誓い、そして披露宴まで行えば、何もしていない人よりも離婚しにくくなるのではと思いました。離婚してしまうと、子どもがいれば子供さんが苦しみますし、子どもが生まれる前に離婚してしまうのは、少子化対策上ももったいないお話です。将来の高齢独身世帯の発生を少しでも減らすことにもつながります。

結婚式を挙げれば離婚率が下がるというデータまであるのであれば、市役所が中心となって人前結婚式を行う体制を整えるもの少子化対策として筋は悪くないなと思いました。

 

そこで、入籍した方について、結婚式を挙げたか挙げないかで将来の離婚率が違うというデータがあるのかどうかを探してみましたが、大学や公的な研究機関が行った調査は、今のところ見つかりませんでした。

以下のようなデータもあるのですが、どれも調査内容が今一つ明確ではないアンケート調査です。例えば、調査の一例を上げますと、既婚男女600名と婚姻歴はあるものの現在は独身の男女142名をサンプルとして、結婚式・披露宴を行ったか、何もしていないかなどを問うもので、結果は以下の通りだったそうです。

 

1.結婚式・披露宴を行った割合

現在結婚を継続中の方   65.5%

現在独身の方(離婚した方)13.4%

2.結婚式も何もしていない割合

 現在結婚を継続中の方   16%

 現在独身の方(離婚した方)82.4%

 

 この結果をもって、結婚式を行うかどうかがその後の夫婦関係に大きく影響すると結論付けています。

http://www.anniversaire.co.jp/brand/pr/soken1/report30.html

 

確かに、一見すると関連がありそうですが、結婚式を挙げなかったから離婚率が高くなっているのかどうかの因果関係はこれだけではわかりません。というのも、結婚式を挙げなかったカップルは経済的なことが理由で結婚式を挙げていない可能性があり、貧困であるがゆえに離婚率も高いという可能性もあるのです。要するに、結婚式を挙げないことと、離婚率が高いことの両方の原因となる別の要因が存在する可能性があるのです。

結婚していないことが離婚率が高くなる原因かどうかを考えるには、経済的な面や両親の離婚の有無など、離婚につながる他の有力な要因まで調査して結論付けてあると有難いのですが。

 

しかし、テーマとしては大変に興味深いです。自分が調べるつもりはないですが、国立社会保障・人口問題研究所あたりの権威ある機関がさらに調べてみると面白いと思いました。そして、結婚式を行わないことが離婚率のアップにつながっているとしたら、少子化対策として公的な機関で結婚式を行うのもありだと思います。投入する税金以上に、プラスの効果が大きそうです。