two by two | For my ripe life

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今後、ひたすら自分を楽しむためにゆるく穏やかに生きていきたいと考える50代のブログです。

「君に読む物語」「メッセージインアボトル」で有名なニコラススパークスさんの最新作に関する独自の中間レビューです。

ニコラススパークス作品との出会いはハワイ旅行の帰り、余ったドルを空港で消費しようとした際に思いつきで「君に読む物語(The Notebook)」ペーパーバックを購入。機中ボロボロ泣きながら読んだのがきっかけでした。

当時、大学3年。必修のキリスト教を学び始めてキリスト教社会の精神構造を学ぶ上で、また英文学原文の表現力を学ぶ上でも参考になりドップリはまり、以後4冊原書に触れました。

まだまだ読み尽くせてはいないのですが。

最新作two by two。
ニューヨークタイムズのベストセラーで殿堂入。かつ最初の版権はBarnes&Nobleが独占していたのでamazon購入出来ず。ハードカバー3,000円相当のみという殿様商売状態が1年程続きました。

かなり気にはなっていたものの、その金額はちょっとね~と思っていたら、1年半ほどしてやっとkindleで1,000円程度で購入出来ました。

そこで購入後、先に書評を見たところ

すんごい評価低いんですよねーーーびっくり

こんだけ期待させといて何?みたいなムンクの叫び

【あらすじ】

#New York Times bestselling author Nicholas Sparks returns with an emotionally powerful story of unconditional love, its challenges, its risks and most of all, its rewards.

At 32, Russell Green has it all: a stunning wife, a lovable six year-old daughter, a successful career as an advertising executive and an expansive home in Charlotte. He is living the dream, and his marriage to the bewitching Vivian is the center of that.  But underneath the shiny surface of this perfect existence, fault lines are beginning to appear...and no one is more surprised than Russ when he finds every aspect of the life he took for granted turned upside down. In a matter of months, Russ finds himself without a job or wife, caring for his young daughter while struggling to adapt to a new and baffling reality. Throwing himself into the wilderness of single parenting, Russ embarks on a journey at once terrifying and rewarding—one that will test his abilities and his emotional resources beyond anything he ever imagined.


出来るだけわかりやすく纏めると(長いけど)、

32才のラス。広告の仕事や美しい妻、可愛い娘に恵まれ順調な生活を歩む。ところが優秀であるがゆえに理不尽な社内政治に逆らう。結果、会社から干され独立するものの古巣の妨害にあいクライアントがつかない有り様。そんな状況でも美しき妻ヴィヴィアンは以前の生活を変えようとせず相変わらずのセレブ気取り。生涯のパートナーである夫の生き方に寄り添おうとしません。やがてヴィヴィアン自身が妊娠を機に辞めた会社に出戻りバリキャリ生活に復帰します。そもそも妊娠前はヴィヴィアンとラスは同じ所得だったんですよ。だからラスはダブルインカムを期待し、まさかヴィヴィアンが仕事辞めるとは思っていなかった。それなのに自分一人の収入でダブルインカム並みの生活を求められてしまった訳です。

勤め始めるとヴィヴィアンは家事放棄、育児分担を巡る諍いが耐えなくなり、トドメは自分を退職に追いやった上司と不倫関係になったからと一方的に離婚を切り出します。

そしてやはり離婚条件もえげつないゲロー

救いは彼を取り巻く人間関係。良心ある両親と最大の理解者である姉マージとその同性パートナーのリズ、加え若き日に生涯最高の恋愛関係にありながら運悪く結ばれなかった元恋人エミリー(幸いにバツイチ、子供同士が仲良くなりそれがきっかけで再会する)という非常に恵まれた環境。

ということで結末はもう見えてる訳で(笑)。

バカ正直に生きてる男がズルい人間に苦労しながらも最後はハッピーエンド、でしょう。

そのせいか、

・先が見えるステレオタイプで面白味がない

・ラスが情けなさすぎで同情出来ないよね

・今までの作品とあまりに違う

って酷評が目立つんです。

【半分読了した時点での私なりの分析】

・今回はニコラススパークスの持ち味であるキリスト教精神の要素がないため、それを期待する読者にとっては読後の清々しさが得られない。ゆえの低評価。

・しかしながらニコラススパークスは理想とする倫理道徳をキリスト教でシュガーコーティングするという手法に逃げず、より現実的な設定でそれを実現したんだと思います。なのでラスの味方となる身内が神を代弁していると感じるのです

・仕事、妻を失ったラスにとって今、一番大事なのは娘や信頼出来る身内。人生の幸せはお金などの物質ではなく精神の充足。そして娘(人間の一番尊い使命である子孫繁栄)は何よりも大事であるという理念そのものがキリスト教精神、いや普遍的な教えだと感じるんですけどね

・家事育児分担に関する永遠のテーマがあの男女平等先進国アメリカでも提議されたという点で興味深いです。収入格差が無い夫婦、特に男性と同じ経済的がある女性にも専業主婦並みの家事労働を求めるのかを改めて考えさせられます。そういう女性視点で見ると、ビジネスマンとしても優秀なヴィヴィアンが妊娠を機に専業主婦となり、夫のうだつが上がらなくなると社会復帰しバリバリやりだし、育児分担への不満やデキる男性に惹かれてしまうのも無理は無いかな…でもそんなに自分の欲の赴くままに行動したら結局家庭崩壊なんだよね~とモヤモヤ考えさせられます


ということで、この作品については今までの作品と同じかそれ以上の価値を感じました。


しかし、これだけ売れて居ながらも邦訳は出ず映画化の話も無い。


未だに版権が強気?

やはり読者レビューの悪いのが目立ち過ぎて、プロモーション的には慎重になってる?

でもね、言い換えれば今までのニコラススパークスの作品が綺麗事過ぎたとも言えるんじゃないでしょうか?

是非ぜひ日本の女性にも読んで欲しいと思うのですが。