10月に観たのは、「ワン・バトル アフターアナザー」、「秒速5センチメートル」(実写)、「チェンソーマン レゼ篇」(アニメ)、「愚か者の身分」、「ひゃくえむ。」(アニメ)の5本。今日は「LOVE SONG」を見てきたけど、11月なのでそれはおいておく。

簡単に感想を。

 

 

主人公のレオ様は若い時に過激な革命運動をしていた。武器を手に、アメリカーメキシコ国境で拘束されて本国に強制送還される不法滞在者たちを逃がすなどし、活動の資金調達のために銀行強盗などもしていた。同志で恋人の黒人女性は、彼と言う人がありながらも敵でかつ人種差別主義者の白人(国境警備隊?)司令官と作戦実行中にSEXするなど、かなりぶっ飛んだ人で、のちに妊娠しても臨月なのにお腹丸出しで作戦に参加していた。

なるべく人を殺さないようにしてきたが、ある日彼女のために作戦は失敗した。次々に同志が逮捕されていく中で、彼女は去り、彼女の産んだ赤ん坊が可愛くてしかたないレオは、工作部の仲間から新しく別人の身分証明書を受け取り、赤ん坊と一緒に別の州に身を隠す。

 

そして16年が経ち、娘は元気な高校生に成長したが、レオ様はすっかり風采の上がらない中年男となっていた。ドラッグと酒のせいで見た目にも行動にシャープさがない。(-_-;)娘が高校のダンスパーティに出かけた夕べに、例の司令官がレオ様と娘を捕まえに急襲をかけた。実はあのイカれた司令官は、革命家を大勢逮捕したため昇進していて、ハイソな差別主義保守派白人のクラブ(秘密結社)に入るのが念願だが、自分に黒人活動家とのあいだにできた子供がいるという疑惑を打ち消すために、部下を大勢連れて始末しに来たのだった。公私混同も甚だしいが。

 

レオ様は娘の通う空手道場の主催者(彼もなにかの地下活動をしているらしい)に助けてもらい、娘を奪い返す作戦を実行。それが、敵もさるもので、ひとつクリアしたらすぐまた一つ襲い掛かる難問ばかりで、まったく息もつかせぬ展開とアクションに飽きさせなかった。ていうか、見てるだけで疲れた。(^o^;)

トム・クルーズの「MI」のようなスケールが大きくスタイリッシュなアクションもあるが、こっちはもっと身近でスリリング。それにしても、レオは自分の娘(DNA鑑定ではあのサイコパス男の娘だったが💦)を、もしも自分の娘でなくても愛して守り抜こうとしているのに、実の両親は人間じゃないわね。

それにサイコパスだけでなく、ハイソなクラブからも刺客が放たれるなど、わけわからない展開。いったい何に対する革命なのか、その他もろもろ突っ込みどころは満載なのだが、それでも娯楽作としては面白かった。

 

好きだったのは、昔ゲバラの役をやったというベニチオ・デル・トロの空手の先生。道場での礼儀に厳格だったし人間味があった。感心したのは、殺傷能力が凄そうな銃で顔を撃たれていったんは死んだかと思われたサイコパス(ショーン・ペン)の復活後の顔。なんとかうまく手術して修復整形したのだと思われる顔だったが、それが本当に現実的に納得できる形だったので。(^^;)私も仕事柄、ね。

 

「秒速5センチメートル」の原作アニメについては前のブログで書いた。

 

 

実写ではすこし改変されていた。子供の時に、貴樹(上田悠斗)と明里(白山乃愛)は一緒によく星空の観察をしていて、「天文手帳」を愛用していた。そして、あの大雪が降った日に岩舟に明里を訪ね、桜の木の下でお互いの淡い恋心を確かめ合った二人は、将来地球に彗星が降って来ると言われている2009年の同じ3月26日に、またここで会おうと約束する。種子島に引っ越した貴樹(青木柚)は、クラスの花苗(森七菜)に恋されるが、心はここにあらずだった。

 

時は流れ、2008年に貴樹(松村北斗)は東京の会社でシステムエンジニアとして働いていた。あまり生き生きとして働いているふうではない貴樹に、上司(岡部たかし)は天文科学館の館長(吉岡秀隆)を助けてやってくれと勧めた。天文好きな彼がプログラム制作をしている科学館にはプラネタリウムがあって、たまたま彼が解説ナレーションをしていた雪の日に、配達のため書店勤務の明里(高畑充希)が訪れてそれを聞いた。壁に貼ったお知らせフライヤーで、今の解説が貴樹だとわかった明里だが、何も告げずに帰る。また、そこにいた女子小学生に明里は、桜の花びらの落ちる速度は秒速5センチメートルだよと教え、そのことを女の子たちがおしゃべりしているところに貴樹が通りかかって、誰から聞いたか尋ねたが、もう明里はいなかった。

 

3月26日、貴樹はあの桜の木のもとに行ってみるが、明里は来なかった。彗星も確か近くまでは来なかったと思う。(曖昧で失礼)明里は実はこれから結婚して、しばらくの間オーストラリアに行くことになっていたのだった。(貴樹はそれを知らないが)貴樹はやっとふっきれて、3年もつきあっていて最近別れた、同じ会社の彼女水野さん(木竜麻生)に改めて感謝の言葉とさようならを言えたのだった。

桜の花の舞い散る思い出の踏切ですれ違った女性は、はたして明里だったのだろうか。昔は電車が通り過ぎた後、踏切の向こうには明里がいた。でも、今は、そこには誰もいなかった。

 

子供の時、高校生の時の可愛くみずみずしい二人の青春も良かったが、大人になってからのやるせなくも淡々と流れる時間と、松村・高畑・木竜・そして宮崎あおいや又吉直樹らの自然なたたずまいがなんだか心にしっくり来た。

 

天文手帳というのが気になって検索し、同じようなのでもっとカラー写真が多いのに、天文観測手帳というのがあるのを知ってぽちった。月の満ち欠けとか、この時期夜空に見える星座とかが図解で解説されている。これで星を探してみようかな。

 

 

チェンソーマン レゼ篇。

チェンソーマンは、テレビアニメ(配信で見たけど)2話分くらいは見てたのかな?

あの相棒のノコギリ犬はどうなったんだろう?

家族はなく一人でデビルハンターをしている、気の毒な境遇の主人公デンジ。所属は公安対魔特異第4課。本来は学校に通っている年齢の少年なのだが、体の数か所がチェンソーに変化する特質があって、それで悪魔と戦っている。

 

 

彼は上司の謎多き美女マキマさんが好きなのだが、ある雨の日にレゼという少女と出会い、彼女の働くカフェにいざなわれる。その後(私から見るとやけに積極的で馴れ馴れしいようにみえるので、ハニトラかと思って見ていた)レゼとデンジは急速に親しくなる。でも実はレゼも気の毒な境遇で、デビルハンターと戦わなければ生きていけない少女だったのだ。

視聴者の評判が高かったので、時間が観たいものとあわなかったこともあって見てみたが、疾走感のある展開でアクションシーンの画もすばらしく(製作はMAPPA)、一気に見られた。面白かった。デンジらが可愛そうだったし割り切れない思いもあるけれど、アニメだしね。

 

 

 

 

               

 

 

タクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)は、何台ものスマホを使って女性のふりをしてラインで男性を誘い出し、奨学金を親に使い込まれた女子大生(山下美月)を派遣して、うまく戸籍売買の話を持ち掛ける。話に応じた客には2年で返すと嘘を言い、多額の報酬と偽の運転免許証(当座の賃貸とかバイトとかのために)を渡す。その戸籍はもちろんもっと多額で取引されるのだが、彼らにも元締めからその一部が支払われる。彼らも好きで悪事に手を染めたわけではない。マモルは子供の時は給食以外に食事ができなかったし、タクヤは愛する弟(越山敬達)の治療費のために借金し、結局亡くなってからもこんな生活から抜け出せない。

 

あるとき、こんな生活から抜け出したいタクヤは思い切って危ない賭けに出て、冷酷な元締めらからとんでもない罰を受けるが(殺されたかと思ったよ💦)、世話になった兄貴分(綾野剛)(自分とマモルの偽身分証を頼んであった)が、タクヤのために元締めらを裏切ってくれて、二人で逃避行するのだった。

戸籍を売った人も、買う仲介をした彼らも、辛い生活に見切りをつけて、生まれ変わりたかったんだよね。安心してつつましく暮らしたいというささやかな願いもなかなか叶えられない環境。見ていて苦しいけど、でも不思議にこの映画は面白かったしダレなかったし、3人の主要人物も、矢本悠馬も、木南晴夏も、名前も覚えてないおっそろしい悪役たちも、演技が達者でよかった。

 

 

 

 

これもアニメ。

ジブリ作品や新海監督作品のような、凄い写実的なものではなくて、紙の少年誌から抜け出てきたような画像。7年前に連載されていた作品だった。

特別なことをしなくても走るのが速い小学生トガシと、転校してきた小宮。いかにもどんくさそうな小宮が転びながら走り続けているのをみたトガシは、見ていられなくて彼が河川敷で走るのにつきあう。何か辛いことがあるのか、小宮は走っているとみな忘れられるのだという。対するトガシは、100mを誰よりも早く走りぬけば、たいていの悩みは解決するよという。

その後、トガシ、小宮、仁神、財津ら、陸上短距離に命を賭ける若者たちにも、長ずるにつれて挫折や怪我や毀誉褒貶など様々なことがおこった。それでも彼らは走り続けるのだった。本当にこの作品は、終始一貫「走ること」についてしか描かれていないが、なぜか「炎のランナー」を見た時のように、見終わってからさわやかな感慨が残るのだった。映画館内には、老若男女の観客がいた。いや、老は私だけかもね。(^^;)

 

下は、入場者特典の絵ハガキ。