ANIARA アニアーラ | 大原浩の金融・経済地動説

ANIARA アニアーラ

 

 

エメリー・ヨンソン、ビアンカ・クルゼイロ、アルヴィン・カナニアン、イェニー・シルフヴェルヘルム、アンネリ・マティーニ他

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北欧ミステリーには「救いの無い絶望感」があふれているが、このスウェーデン・デンマークのSF映画も同様だ。

 

氷や雪に閉ざされ、太陽があまり降り注がない北欧の気候が陰鬱さの大きな原因であると思う。そして、宇宙空間も温度が―270度と絶対零度(約-273度)とほぼ同じで、北極や南極など足元にも及ばない極度に寒い場所である。

 

しかも酸素も無いし、広大な「真空」あるいは「広がるガス」の間に、ごくまれに恒星や惑星があるだけだ。

 

このような場所に置きざれにされ、さまようとしたら「絶望」しかない。

 

本作品で、宇宙に漂う船の中に閉じ込められた乗員・乗客たちが「絶望」するのは当然だ。

 

彼らの救いの無い絶望が淡々と描かれているのが本作品だ。「ミレニアム」のような北欧ミステリーは、陰鬱さの中にも「驚かされる物語の展開」があるが、本作品はほとんど一直線に「絶望」の崖を落ちていく。したがって、内容が単調になっているが、その分「絶望」がよく伝わってくる。

 

また、「絶望」したときに救いとなるのが神(宗教)だが、本作品では「神が宇宙を創造」したのではなく、(絶望に耐えるために)「人間が神を創造した」ということがよくわかる。

 

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